第3話 デジャブだよな?

彰に話しかけるのと好きな人に話しかけるのとではこんなに緊張差があるなんてな、


「名塚さん」

「あ、あなたは昨日の!えっと···」

「(よし!ここまでは順調だ)」

「速野 晴って言います!」

「えっと、速野さん昨日はありがとうございました!」

「大丈夫だよ!別に大した事はしてないからね」

「(頼む!上手くいってくれ)」

「す、すごいですね」

「え?」

「だって!人助けをしたのにそれを大した事ないと言うなんて、すごいカッコイイですよ!」

「·······」

「ど、どうかしましたか?」

「や、」

「や?」


やばいやばいやばいどうしよう、カッコイイって言われた!と、とりあえずなにか言い返さないと


「とにかく!大丈夫なら良かったです」

「はい!」


やばい、どうしよ、あまりに考えてなくて会話終わらせちゃったよ、


「1時間目がそろそろ始まるから席に戻るね」

「はい!」


あー、全然上手く喋れなかったよ、なんで好きな人相手だとこんなに緊張するんだ!


「で、どうだったんだ?」

「どうだったって何がだ、彰」

「まぁ、その様子じゃあ失敗したんだろうな」

「何をだよ」


絶対気付いてるくせに聞いてきたな···


「なぁ、彰」

「どうした?」

「勉強出来たよな」

「まぁ、学年10位以内には入れる実力を持ってるな!」

「(はぁ、マジかよ!コイツ勉強も出来んのかよ、って違う違う)」

「そんな君にまた聞きたいことがある、」

「うむ、何かね」

「勉強で覚えてた箇所が問題に出たが、その答え方が覚えていたものとは違って間違えた時、その後どうする?」

「んー、まぁとりあえず俺は反省をするかな」

「反省?」

「あぁ···例えば、自分の書いた答えを見て、自分がどうすれば良かったのかをまた考え直すことで同じミスを繰り返さないとかかな、」

「なるほど!考え直すか···ありがとな!彰」

「なんか、こんな感じのやり取りにデジャブを感じるのは俺だけか?」

「気のせいだ!」

「(絶対気のせいじゃないんだよなー)」


とりあえず、さっきの会話を思い出してみるか

(脳内)

「名塚さん」

「あ、あなたは昨日の!えっと···」

「速野 晴って言います!」

「えっと、速野さん昨日はありがとうございました!」

「大丈夫だよ!別に大した事はしてないからね」


ここまではシュミレーション通りに行ったんだよな、問題はここからなんだが···


「す、すごいですね」

「え?」

「だって!人助けをしたのにそれを大した事ないと言うなんて、すごいカッコイイですよ!」

「·······」

「ど、どうかしましたか?」

「や、」

「や?」


「とにかく!大丈夫なら良かったです」

「はい!」


んー?ちょっと待てよ、俺明らかに変な人じゃね?だって、自分から話しかけておいて”とにかく!”とか言って会話強制終了させてるぞ···


あー、やったなこれは大失敗だ

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