第98話 同盟と、結末と、我が子
そろそろ頃合いかなと思っていたら、隣国のコンポー伯爵から手紙が来た。
同盟の騙し討ちの場が整った。
俺はフードを被って同盟の場に赴く。
貴族派の長老と幹部が、コンポー伯爵がワイングラス片手に談笑している。
「全く、ラッカーの野郎には手を焼かれます」
「ですな。アプリが便利なのがいけない。それになまじ武力を持っているからさらに手に負えない」
「全くです。ですが、我々が同盟を結べば色々な手が打てるに違いありません。では同盟の魔法契約と致しましょうか。おい」
コンポー伯爵に呼ばれたので、俺は進み出た。
「はいただいま。ではみなさん、魔法を受け入れて下さい。【魔法契約】」
俺は奴隷化魔法を使った。
「ふむ。同盟がなったからにはギリギリと奴を締め上げてやりましょうぞ」
「奴がなんだって」
俺はフードを取った。
「貴様はラッカー。くっ、だましたな」
「さっきの契約は奴隷契約だ。手下の貴族共を連れて来るんだ。命令だ」
「はい。くそう、貴族派も終わりか」
芋づる式に手下の貴族が奴隷化されていく。
そして、どうしても奴隷化できなかった幹部や長老に対して俺は裁判を起こした。
証拠は十分に揃っている。
貴族派の幹部は手下に号令をかけてなんとかしようとしたが、貴族派の9割は奴隷になっている。
もはや貴族派は俺の派閥だと言っても良い。
「カロン、何か言い残すことはあるか」
俺はカロンの裁判でそう言い放った。
「くそう、国を蝕む寄生虫とはお前のことだ」
「俺は国から利益を吸い取ったことなど一度もないぞ。常にギブアンドテイクの精神でやっている」
「この狂人が」
「連れて行け」
おっと俺は裁判長じゃなかったな。
だが裁判長も頷いているからこれでいいのだろう。
俺はレジスタとつなぎを取った。
「アフォガード伯爵、ついに牙を剥いたな。国を手中に収めてどうするつもりだ」
「なぁ、民が投票して国のかじ取りをする人を選ぶってのはどうだ」
「そんなことできるわけ」
「できるんだよ。王族の不正の証拠も揃っている。弾劾も出来る。裁判官は公正だからな」
「できるなら、やってみたい。貴族のいない生活か。夢のようだ」
俺は色々な証拠を元に王族を脅した。
そして、フィーユ王女を王位につけて、俺に王位を譲らせた。
俺は貴族制の廃止を宣言。
貴族はただの大地主になった。
俺は象徴として君臨することに。
だいぶ早く方がついたな。
「フィーユ、お前は用済みだ」
「そう、殺すの」
「いいや、離婚するから、田舎にある畑付きの別荘に行け。そこで安らかに暮らせ」
「そう」
「恨み言は言わないのか」
「貴族が無くなってなんだかどうでもよくなって。私も普通の民と変わらないのね」
「そうだ」
フィーユは静かな田園地帯で間男と暮らしている。
子供に憎悪を吹き込むとか言っていたが、その兆候はないようだ。
貴族制度がなくなってどうでも良くなったらしい。
価値観が壊されたのだろう。
呆けたようになった貴族も多数いる。
議員に立候補した貴族もいるが、善政を敷いてなかった人は落選した。
民は正直だ。
金で強引になんとかしようとした奴も出たが、そういうのは俺が取り締まった。
「エクレア、何かしたい事があるか?」
「そうですね。各地を旅してまわりたいです」
「視察の旅ね。やってみるか。そして悪政が敷かれていたら悪人退治をしよう」
「あっ、産まれるかも」
エクレアが産気づいた。
俺は何だか頭がごちゃごちゃになってただうろうろした。
そして、深夜。
元気な産声を上げて子供が産まれた。
男の子だった。
この仕事に対する報酬はどうなるんだろう。
「あなた、抱いてやって」
「おう」
子供のあどけない顔を見ていると、ギブアンドテイクなどどこかに飛んで行った。
決めた。
子供にはギブアンドテイクを適用しない。
それが報酬だ。
俺が考えられる最大の報酬だ。
ちなみに、少し経って産まれたラメルの子供は女の子だった。
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あとがき
やっとこさ終わりました。
全ての読者様に感謝を。
ええと、180話完結予定が120話完結予定になり、終いには98話で終わりましたが、よく続いた方だなと思ってます。
キャラの名前を間違えていたり、色々と齟齬もありましたが、こんなところです。
ヒロインの影が薄い事といったら、それと戦闘シーンがほとんどないせいで、主人公の最強具合が表現されませんでした。
何となく内政物になってしまいましたね。
それはそれで良いんですが。
もう少しきちっとプロットを書かないと駄目ですね。
反省点が多い作品になりました。
では、またの機会があればよろしくお願いします。
異世界で俺だけがアプリ開発者~馬鹿貴族を殴って街の門番になった近衛騎士。足税回収率100%を続ける事10年。徴税の力で最強になりました~ 喰寝丸太 @455834
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