巡る季節の中。可憐な神様は、スマホを手にしてそこにいた——

 web小説を書く人、そして読む人にぜひ読んでほしい一作。

 社会人3年目の主人公「俺」は、ある日通勤電車で隣になった女性が大ファンのweb小説家・水無月杏理であることを知る。
 どんな運命の出逢い! いや、世間ってせまっっっ!
 きっと読んだ誰もが「俺」のその後の独白や行動に激しく同意し、一緒に叫び出したくなってしまうに違いない。そう、きっとweb小説を書いたり読んだりした皆の多くが通った道を、彼もまた歩んできたからだ。

 そう、もしかしたら在るかもしれない、そんな奇跡の物語。

 神様はいた。確かに目の前に存在した。
 それは可憐で儚くて、手を伸ばせば届きそうな距離にいるのに、決して掴めない存在。

 そんな彼女がある時から、いつも見守る電車の中での執筆を止めてしまい——?

 巡る季節、色づく景色。その中で一歩を踏み出した彼の言葉は、この物語の上という時空を飛び越えて、読者である我々の心さえも揺らすはずだ。

 電車の走る音、外の景色と車内の喧騒。風が色を纏ったような美しい情景が、ありありと目の前に浮かんでくるよう。

 自分の目の前の景色を、広大な青空のように見るか。
 それとも薄暗くぼやけた画面の上のように、狭く見てしまうのか。

 心の中に染み渡るような澄んだ余韻を、ぜひ体感してほしい。

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