愛した人に会いたかった男の最期の声

切なくも恐ろしい一編でした。
私がこれを読んだのは夏。原爆の日の少し前なのですが、まさに今の時期にぴったり。

主人公が見た霊は、生前の最期の姿だと思われます。
こと切れる寸前まで、絶対に生きて帰って愛する人に会いたいと強く願いながら敵に立ち向かっていた様が脳裡に浮かびました。
霊障に見舞われた主人公、およびその眼を借りている読み手の私からすると不気味ですが、背後に隠されていた事情が分かるととても切なくなります。