バイタリティあふれる主人公

僕が読んだのは、まだ40話ワーカホリックあたりまでです。今孤児院で出会ったサチがメイド見習いになりました。

話数が長いようなので、ゆっくり拝読したいと思います。



主人公のレイシアは、仕事中毒な万能天才少女。なにをやらせても結果を出す女。今後、バシバシ特許を取得する伏線でしょうか。

でも、親しみやすいところもあって、周囲の大人たちから大変可愛いがられています。

作風はコメディで、バイタリティに優れた主人公が他の大人のキャラクターたちを引っ張ります。大人の女性にとって理想的な主人公だと思います。


ネット小説として、あえてジャンル分けするならば、主人公最強系に分類できなくもないでしょう。

けれども、視点やアイデアが個性的でコメディタッチが随所に意識されており、男性的な主人公最強系のストーリーによくあるような暴力的で虚しい感じがまったくありません。


冒頭のつかみも、王子さまが王子さまらしい二股を計画？してるところとか、レイシアが気取らない態度で彼と親しく話してるところが、すごく印象的でした。掴みは抜群です。



きっと王子にとっては、下町から成り上がった男爵令嬢アリアも大事だけれど、レイシアが万が一、他の男と結婚するのは、王子さま的にも気分が少し悪いのだろうなぁと僕は想像しています。

もっとも、まだ最新話でも、その辺の事情が説明されていないようなので、現時点での憶測です。恋愛抜きで親しく話せる異性っていいですよね。


あと、少し気になったのは、コメディなので仕方ないのですが、周りの大人、みんなノリが良すぎるなぁってところです。

でもキャラクターごとの書き分けが凄くて、会話や衝突のたびに新鮮な発見があります。僕も書くことはあるので、見習いたいです。

他には、展開が丁寧なので、300話以上あっても、未だに冒頭の16歳編に突入していないこと。レイシアがそこでどんな決断するのか、とても気になります。早く王子からのプロポーズのシーンを時系列で見てみたい。読者が作者さんに巧みに焦らされている感じはありますね。


ところで、世界観は中世ヨーロッパ風+異世界ですが、「特許」という経済的な要素や、魔法・冒険者といったネットファンタジーのお約束要素、薄い本などのオタク文化を巧みに融合させてあります。ここがかなり凄いところだと思いました。

なぜなら、物語に多角的な発展性があるおかげで、web小説的な面白さや期待感に強く拍車を掛けているからです。この作品にはロマンがあります。

それでいて、大人の女性らしいリアリストの視点も意識されています。日々を忙しく過ごしている大人の読者がコメディを楽しみたいときは、コレ！とオススメできる物語です。

あとこれは、ネタバレになるのですが、とても哀しい悲劇が起きます。このシーンは、物語の舞台である中世の時代を想像させる奥行きをつくるうえでよく機能していると感じました。

すでに高い評価を受けていますが、さらに評価されて欲しい作品です。応援してます。