ストーリー展開の質と世界観に優れています。

  • ★★★ Excellent!!!

ペストという異能力への覚醒をテーマにした海外が舞台の小説です。

多国籍の子どもたちが、それぞれのバックグラウンドを持ちながらも、互いに絆を深める様子が描かれています。この物語は悲劇を負った主人公の少女、スペイン人の父を持つイギリス人のキャサリンだけにフォーカスするのではなく、さまざまなキャラクターが活躍する群像劇の側面もあるようです。


日本語表現に関して、少し気になるところはありますが、ストーリー展開の仕方や世界観が極めて秀逸です。

最新エピソードでは、ペストたちを狩る保安隊の少女シャーロットことシャリーがペストに覚醒し、監禁状態に。シャリーの親友のズーハンも保安隊ですが、ケイと名乗るペスト覚醒者との出会いがあったため、彼女は、ペストへの憎しみに疑問を持つようになっていました。

ズーハンはケイを探すうちに、主人公のキャサリンに出会います。こうしてズーハンやシャリー、メイソンたち保安隊の面々も仲間に加わるのか、という、かなり気になる展開。

キャラクターたちのロマンスフラグを適度に入れつつ、ペスト対人類という構図に、シャリーの覚醒で揺さぶりを掛けるなど、西澤さまのストーリーテラーとしてのお力は、とても優れていると思いました。

さまざまな激動に揺らぐ現代の国際社会への問題意識も所々に感じられ、テーマ性にも秀でた作品と言えます。主人公キャサリンの選択という本プロットに、どのようにキャラクターたちの群像劇が合流するのか、今後の展開が楽しみな作品です。気づいたら、あっという間に読んでました。

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