心に傷を抱えてきた高校一年生の女の子、山田幸子ちゃんを主人公にした心の成長の物語。
幸子ちゃんは皆からさっちゃんと呼ばれています。
物語の冒頭、誰もが抱えそうな感情が描かれながら、その傷は紛れもなくさっちゃんだけのものでした。それまで、その出来事を認識していた人は何人かいましたが、さっちゃんの心を癒してくれるような人物はいませんでした。
高橋駿くんと出会ったさっちゃんは、やっと世界が動き出したかのように、活き活きと「今」を生き始めます。
さっちゃんの思い出から、自分もこんな風に傷つけられてきたなとか、絶対にあいつらを許さないとか、自分の記憶を呼び覚ましました。
しかし、それでは、さっちゃんと自分とは違うということに気づけていませんでした。
さっちゃんは、苦しい決断ながらも、許す(赦す)ということを選んだのです。
私にはできない決断でした。
赦す、ということは、並大抵のことではありません。謝る権利というものを誰もが持ち得ていると思いますが、それを赦すかどうかはその人の裁量によります。
私のように、ずっと許さない、とする人が沢山いるのではないでしょうか。謝ってももらえない、ということがあるのではないでしょうか。
物語には、自分の犯してきたことへ謝罪する人が沢山出てきます。
こうして、自分のしたことを顧みることができるのは、現実では稀なように感じます。
そして、そのしてきたことへ真っすぐ向き合う、されたことへ目を逸らさずに冷静な目線で判断する。これは、この物語の軸になっているように思います。
ところで、私は、大抵「話しても無駄な人」と言われてきました。この物語の中にも、話しても無駄な人が沢山出てくるなと感じます。
そんな時、暴力に訴えて力でねじ伏せてしまう、という行動をとったことがあるのが駿くんです。
ある時、暴力で勝ち取った正しさに気づき、話し合いや策謀によって解決するという方向に切り替わるのですが、これは駿くんの成長の物語と言えるのではないでしょうか。
話しはそれますが、「話しても無駄な人」への対処法があればいいのにと思っても、今のところコレといった解決策が思い浮かびません。
私も、私を取り巻く「話しても無駄な人」に対し、力で抵抗してきました。ある時は、イジメの仕返しにその子の体に傷をつけ、またある時は、「学校に来るな」という教師に物を壊して、力づくで「私の苦しみに気づいて」と言ってきました。
しかし、そんなことでは何も解決しませんでした。余計に自分が居辛くなって、自分を苦しめることになったのです。
私も、変わるべき時に来ているのかもしれません。
話しても無駄な人に、認められようと頑張っても何もうまくいかないのは、もうどうしようもないです。
それで、私は考えを少し変えました。
「私を大切にしない人を、私は大切にする必要はない」というものです。
さっちゃんは大切な人たちができて、その人たちを大切にしていきます。体を張って守ったり、駿くんと一緒に実際に行動に移したりしていきます。言葉で言うだけなら誰でもできますが、行動となると、私は難しいと感じます。
その中で、一見、なれ合いとか傷の舐めあいみたいなやり取りに感じる仲間内での会話がありました。物語の中のチャットや、仲間内での集まりです。嫌な言い方になって申し訳ないです。
それは、私の現実にとって、憧れながらも、それに似た経験をしながらも、全て幻のようなものでした。私は「皆で幸せになるんだよ」と言っていた友達にも、最後には裏切られて、捨てられてきました。
だから、こんな幸せな仲間たちは小説の中だけだよな、いつか壊れるのかな、と思い、ハラハラして観ていました。
皆が、お互いを尊重して、思いやりに溢れる関係を作れるのは、小説の中だけだよなと思いつつ、現実もそうあって欲しいと願ってしまいます。
さっちゃんを苦しめる過去、現実。時にそれらの苦痛に心を支配されます。さっちゃんを支える人々の存在が、さっちゃんにいつも「ここに戻っておいで」「ここにいていいんだよ」と、こんな言葉ではなかったけど、実際に寄り添って励まします。
真面目な人ほど、堕ちていく時も真っすぐ堕ちていくという人の言葉があります。
どんなに献身的な行動や言葉でも、届かない時があるのです。
幸いなのは、さっちゃんが今を生きていること、今という時を刻む勇気がある事です。
・憎しみに心を奪われ、「あの人しか座れない椅子」にあの人が座るのを待っている。
・傷つけてきた奴らを社会的に追い詰める方法を学ぶために勉強する。
・ずっと泣いている私が、泣き止まない。
上記の三つは私の事です。
過去に生きることが自分をさらに追い詰めるだけだということを理屈で分かっていても、心がいつまでも囚われてしまう。
さっちゃんに、駿くん達がいることは、本当に羨ましくて、眩しくて。
私もそんな存在に出会えたら、変われるのになって思います。
そう考えると、作者の下東さんは、自分の周りには居ないタイプです。この作品を拝読し、コメントでやり取りしただけ、と言えばそれまでですが、自分にとって新鮮な人です。
ある時コメントで、正義についてどうお考えですか?とお聴きしました。
そしたら、意外な答えが返ってきました。「正義について思いを馳せたことがあまりない」とおっしゃったんです。あれだけ主人公のさっちゃんを虐めて、そして救ってきた張本人からの言葉とは思えませんでした。きっと、確固たる「正義」というものがあって、それに則って救いのある展開にもっていっていると思っていたんです。違っていました。
おそらくですが、「正義」という私の考えていた小さくて凝り固まった概念ではなく、もっと優しくて広い視点からこの物語を描いているのでは、と想像します。
私は、下東さんを「正義漢」だと思っています。それは、正義という移ろいやすいものの土台に「優しさ」や「思いやり」という大きな信念というか、揺るがない意志がある「正義漢」です。人間の優しさを信じている、信念の人と言えるかもしれません。
ずっと前に、子どもとの関わり方について伺ったこともありました。
その時のお返事で、下東さんは子ども(赤ちゃん)にもお年寄りにも好かれるとおっしゃっていました。下東さんのお人柄が分かるエピソードでした。
心が綺麗で純粋で信頼できる人だと、皆さん勘で分かるんですね。私は、子どもには見下されて馬鹿にされるし、お年寄りには反抗的な態度をとるためか、関係がうまく築けません。
年齢が違うからといって態度を変えてしまうからでしょうか?
態度を改めたとしても、きっと彼らには性根を見抜かれてしまうと思います。私は同い年の奴らでさえ、皆、宇宙人に見えていたほど孤独だったので。
下東さんのオーラをお借りして、皆と和やかに過ごしてみたいもんです。
この物語のもう一つの読み方として、自分は、おねショタというキーワードがあるように思います。さっちゃんはどちらかと言えば小さなカワイイ庇護欲をそそられるロリちゃんですが、この物語には沢山の魅力的なお姉さんが出てきます!
勇者ゆうじ君を愛するゆみこ姫には、生きる上で大変重要な需要に応えていただき、作者様に供給していただきました。
もちろんショタも、勇者ゆうじ君を筆頭に、駿くんも大きな図体をしていますが魅力的なショタ要素を持っています。
あまりに刺激的で優しく(巨乳)の魅力的なお姉さんたちに、途中理性がぶっ飛びました。
作者の下東さんには、このおねショタ異常者を通報しなかったことに深い敬意を表すると共に強く感謝しています。
感謝と言えば、こんな末端の読者にも丁寧にお返事を頂けたこと、ストーカーのような怒涛のコメント続きに温かく応えてくださったことにも、深く感謝しております。
この作品は、自分にとって最高にエモーショナルな、素晴らしい作品です。
あまりに面白かったのでとんでもなくコメントを残してしまい、ご迷惑をお掛けしました。
申し訳ございませんでした。
またどこかでさっちゃんに出会えることを願っております。
下東さん、素晴らしい作品をありがとうございました!
この物語は、深い深い心の闇を抱えた一人の少女を中心に、1年間を通して仲間と共に成長していく感動的な物語です。
おそらく誰もが大なり小なり抱えているコンプレックス。
この物語の中には過去のトラウマやコンプレックスを抱えた少年少女の様々な人間模様を織り交ぜながら、時には傷つき、泣き叫び、人間不信に陥りながらも、同じような苦悩を抱えた仲間たちによって支えられ、立ち向かい、前を向いて歩き始める愛と青春真っ盛りの少年少女たちが描かれています。
物語を読み進めるうちに、何度も憤りを感じたり、不条理を感じることもありますが、まっすぐな思いやこれぞ青春!と言う場面や甘い恋心も織り交ぜながら、やがては、明るい未来が見えてきます。
そして色々考えさせられます。
最後は爽やかな読後感に心が癒されます。
是非、皆様も青春時代の愛と苦悩を共に味わってみてください。
義務教育中には特に多い、他人が放つ、人を傷付ける言葉。言った方は、忘れている。大したことじゃない、と思っている。
詳しくは書けませんが、主人公は、過去に「そんなことはないよ」とは思えないくらいに辛い体験をしております。
「もうやめて!」と思われる方もいらっしゃるかと存じます。それほどに、色々なことが起こります。
ですが、主人公には、素敵なお母様がいます。高校生になった彼女には、一番大切な人と、大好きなお友達や先輩達も現れます。
主人公のことを大好きだという皆さんの大好き、という言葉をなかなか信じられない。それも仕方ないくらいに、辛い過去、そして現在。
でも、彼女はとても強いのです。そして、とても、とても優しい。
主人公のことを大好きな皆のことが大好きな彼女。
そんな彼女が自分自身を好きになっていくお話です。
まさに、『コンプレックス』。
泣いてしまわれるかも知れません、作中人物に怒りを感じる方もおられるかも知れません。
それでも、主人公を、皆を。
たくさんの方にご覧頂きたいです。
どうか、本作をよろしくお願い申し上げます。
この話を一言で語るならば、ある意味どこにでもありそうな、コンプレックスを抱えた少女を取り巻く物語り。
大人の目線で見れば些細なことで喜び、悲しみ、一喜一憂する。かと思えば、大人の目線から見ても凄惨な方法で他人を傷付ける。
現在レビューを書いている段階でまだこの話は完結してはいませんが、いずれにせよこの物語の登場人物である彼女たち、彼らにとって、今歩んでいる青春が特別でない筈がなく、平穏で済む訳もないということ。
恋愛にバンド活動を基調とした青春群像。読む人の年齢や取り巻く環境によって、千差万別の感想が生まれること間違い無しでしょう。
尚、友情が芽生え、相手を思いやる優しい描写がある反面、人によっては辛いと感じるかもしれない描写もあります。そういった意味では、読み手を選ぶ話であると感じました。
思春期ならではの 悩み… 問題…
人間関係… 人と人の 繋がり…
寄り添い 築き上げていく 為に
未熟な 若い子の … 感情 や 心の叫び 声 が
様々な 形で 混じり合い ひしめき合う
作品の 見方が 少し 難しい かも しれませんので
気負ってる 人なら あまり深く考え過ぎずに
お読みください 、、、。
もし、、イジメてる側の人なら 他の人の
他者の考え方や、様々な考え方、気持ち、想い
など を沢山、教えてくれると思える作品なので
どっちの、何が? 道徳的に 良くて どっちの
どの行動が、道徳的には 良くないか? など
考えてみるのも 良いかと 私自身は
そう思い、 人の想い などを この作品から感じさせられます。
一概に 誰が 〝良い〟 〝悪い 〟 だけの
判断 を
くだすのでは なく!
この 物語の作品 みたいな コトも
現実(リアル)なんかでは 起こり得る 出来事
なのだと 考えてみることも 良いコトだと思います。
『ただ 危機感ばかり 、不安ばかり、抱えていると
自分自身の ココロが すり切れてしまうので…』
自分に もう少し優しく、そして他者にも
優しくあれる そんな 〝素敵〟な人になれると
良いですね
それだけでは 防衛が 出来ない可能性も
あるので 強い ココロ や 気持ちも 時には必要に
もなります。
もし、道を間違えたとしても、、、
それに気づいた時に、やり直しは
キクはずです。希望は捨てずに、
諦めないで、いてください。投げやりに ならない
…… 全てを 伝え 伝わり わかり合う
コト は出来なくとも 寄り添える 近づける
その 一歩 が 私は 〝大切〟
ではないかと 考えたりします。
本を 作品を 読む 詠む ことは勉強に
なりますが 時には面白く 時には悲しく
作品の中の 感情に流されたり
楽しくも あり 辛くなることも
しかし その中にも 学びも 含まれる
と言う、コトも お忘れなく(^^)
人との出会いがすべてを変える時ってあるんですよね。私もそういう経験があるからよくわかります。このお話は、そんな「人との出会い」のすばらしさを教えてくれる「恋愛」ではなく「ヒューマンドラマ」だと思います。
そう、この物語を「恋愛」という言葉で片づけてしまってはいけないと思います。恋愛って「お互いがお互い」をみたいな感じじゃないですか?これは違います、純粋な「人間愛」の物語だと思います。
この時の年頃って、どうしても「容姿」かなにかが「恋」の駆け引きにからんできたりしますが、そんなのと関係なく二人は出会い、そして、人との輪を広げていきます。
そして、その輪が次第に、少女の心の傷と隙間を埋めていく、そんな感じの物語です。ちょっと私は最後まで読めてないのですが、カクヨムコンが終わったら読破ささせていただこうと思っていて、その時、もう一度レビューを書きなおそうと思っています。
思春期の多感な時期の苦しみと喜びを描いた一作、皆様も読んでみませんか?
少女・幸子が、過去に受けたつらい記憶と戦いながら、なんとか自分を立ち上がらせていく再生の物語です。
読ませていただいて、良作だなぁというのがまず第一の感想です。
安定しつつも起伏のあるストーリーや魅力あるキャラクター、そして広がる優しい世界に心が温かくなること間違いなし。
自分を根暗女子と思い込む幸子の目の前に現れた駿くんは、容姿が整っていて人気があるだけではなく、仲間と一緒にバンド活動もやっているいわゆる「陽キャ」です。
そんな駿くんが、幸子を気に入って、仲間に入れてくれたり、デートに誘ってくれたりと、一見シンデレラストーリーのような爽快さを感じますが、それは「幸子がラッキーだったから」という訳ではありません。
幸子は人への気配りができ、トラブルが起きても乗り切れる機転もきく子で、何より心が美しいんです。
幸子を見守る駿くんと仲間達。最初は幸子が騙されていないか心配になりましたが、仲間たちの陽だまりのような温かさに心が洗われました。キラキラなギャル達の出てくるシーンも和みます。この現実も、こんな世界であってほしい。
フラッシュバックしてくる過去のつらい記憶と戦いながら、立ち直ろうとするヒロインの再生の物語を、みなさんもぜひ読んでみてください。
思春期、いじめられることや、嫌な気持ちになることも多い時期です。
誰しもが経験した道でありながら、苦労する道でもありますよね。
これは、思春期につらい思いをした少女が、やさしい人たちに囲まれ変わろうとする物語です。
コンプレックスを抱える少女、幸子――さっちゃんに寄ってきてくれたやさしいひとたち。
類は友を呼ぶ、とのことわざの通り、いいひとのまわりにはいいひとが寄ってきます。悪いひともしかり、です。
完ぺきではない世界で、どうにか変わろうともがく、やさしく真面目なさっちゃんの物語です。
きっと、読んだらやさしいタッチの物語にはまってしまうはずです。