「人間と比べたなら、自分は十倍くらいは早く歳を取るのだろうな。だってこの子ったら、俺が二歳前の頃と同じくらいは元気なんだもの。
連れも旅立って、あぁ、俺もそう遠くはないなぁ。膝も腰も最近じゃどうにも良くなくてさ。でもま、悪くない人生……いや、兎生だったよ。
ただ一つ心残りがあるってぇなら、この子、なかなか素直になれねぇんだ。
あぁあぁ焦ったい、焦ったいなぁ。もう! こっちのことなんて気にしてないで、さっさと行けってんだよ!」
ぴょおん!
とでもいうかのような、達観していて、心優しい兎と少女の青春を描く、そんな心温まる物語りに思います。
人間が子供から大人へと変化する間、果たして動物たちはどんな目で我々を見て、どんな風に感じているのだろう。そんな切なくも、優しい気持ちになれるお話でした。