美麗な文章で綴られる風流ラブロマンス

磯崎さんの着物の知識や美術の知識が惜しげもなく開陳される喜びを感じつつも、切ないラブロマンスに引き込まれて一気読みしました。
ヒロインの陽子が涙するところから、読んでいる私も涙が止まりませんでした。
若くて才能のある書き手はたくさんいます。しかし円熟した書き手による、練り込まれた小説はまさに芸の一言で圧巻です。
舞台は現代でありながらも、時代小説を読んでいるかのような味わいと趣もあり、ぜひ30代以降の読者の方にじっくりと読んでいただきたいです。