叫んで五月雨、金の雨。

もう冒頭からずっと笑ってました。

開幕すぐのタイトル回収が圧倒的な上、調子の良い語り口の主人公。
天才ふたりの将棋バトルという軸に、少しシリアスな要素も絡めつつ、あくまでコミカルにリズミカルに進んでいきます。
また、それは"可笑しさ"の雰囲気をどんどん変えていって、まるでフルコース料理を食べてるような……。すっっごく楽しいお話でした。

金の雨と聞いたら、何を想像するでしょうか。
これは――その想像を一直線に貫いていくという、あたかも正拳突きのような真っ直ぐさと破壊力を誇る物語です。

……というか最初の一行目でもうネタバレが。
これ言われたら、もう想像するしか無いじゃないか、と言わざるを得ません。
そんな正拳ストレートを食らって、読者はもうKO寸前で、ラウンドが終わるまで拳を振るしかありません。
言うなれば、倒叙ミステリのような「初撃」があって、そこからストーリィがグイグイ来ます。
読み終えた時、それはまるでKOされて「眠る」ような、そういう心地よい敗北感、白熱した達成感を感じました。

是非、ご一読を。

いや面白かったしすごくこう…　なんだこれ（なんだこれ