戦いは加速し、思いは追い付かず拳が火花を放つ

 大変期待している作品です。現時点の本編最新話はいよいよ予選の大詰め、容赦ないバトルロワイヤルが進行して行きます。
 ゲーム以外に得意なこともない少年がバトルロワイヤルに選ばれ、戦いに身を投じるという筋書きに、多彩な擬体の能力とそれを駆る少年少女たちが飽きさせない。発想と描写力は非常に高いです。

 辛口の評価を述べるなら、「現代日本に近いが明らかに異なる部分、社会の歪み」と「主人公の擬体の特殊性」を今後どのように活かせるかどうかでしょうか。
 序盤に語られた「犯罪者」の存在をどう回収するかに期待しています。
主人公の擬体は適当な性格で独特な喋り方です。そのキャラ付けがいまいち主人公の戦い、試練、成長と絡んでいるようには今のところ思えない点は気になります。戦闘中妙に黙っていたり、親友を戦いで失った場面で何かしら主人公にリアクションをしても良さそうではないでしょうか。タイトルにもなっている名前の持ち主なのですから戦闘に口出ししたり口論になったりぶつかりあったりして主人公とバディになって欲しいと思います。

 また、主人公陣営以外の多数の少年少女の個性の描き分けは不均等になっているようにも感じます。最新話の展開で「なつ」の主観視点を描くなら、なつとその兄にはもう少し予めキャラクターの掘り下げが欲しかった。「キング」に挑んだ「同盟」の少年には感情移入できるだけの彼視点の尺がありましたがなつたちには不十分に感じました。このあたりはバトルロワイヤルものにつきまとう課題だと思いますが、ある程度の尺で主観視点を交代して担当するキャラクターは読者から「このキャラクターはこう」と分かるように付き合う時間が必要ではないでしょうか。

 長々と書かせて頂きましたが、これからの展開を読者として楽しみにしております!

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