心の原動機が動き出す。
- ★★★ Excellent!!!
深夜ドライブのお誘いに、颯爽と現れる友人の姿。
昔、同じ状況によく出くわしていたからでしょうか。
読み始めた瞬間、私はもう物語に惹き込まれていました。
友人の言葉はすっと胸に落ち、響き渡るものでした。
最初はそれがとても不思議な感覚に思えたのですが、
読み進めていくうちに、理由は明らかとなりました。
きっと友人には、すべてわかっていたのだと思います。
たとえ修羅場を抜けようとも、まわった毒は抜けないこと。
酸素の薄い晦冥の底では、息をすることさえも困難なこと。
浮上と中和には、目印となる他者の光が必要であることも。
その光をドライブを通じて届けてくれた友人の言葉には、
包み込むような優しさと大きなぬくもりが宿っておりました。
だからこそ私は読了後、涙が溢れていたのだと確信します。
無数の有機的な繋がりによって生かされている自分の命。
私も友人みたく、誰かのきっかけでありたいと切に願います。
素敵な作品に触れさせていただき、深く感謝いたします。