情景描写・心理描写がたいへん丁寧で臨場感があり、感情移入しながら流れるように読み進められました。登場人物はみな個性的でありながらも親しみやすく、物語全体に彼らの息吹を感じ取れるのが魅力的です。恋愛の中で己と向き合い、変化と挫折の体験を経て本当の在り方を模索し成長してゆく主人公の勇姿は、励まされると同時に、応援したい衝動にかられます。伏線と推理要素も相まって、終始楽しさだけでなく考えさせられる味わい深さも調和しておりますので未読のかたはぜひ、お読みになってみてください。