オリエンタルな雰囲気に包まれた集落を舞台に、ひとつの神話が紡がれます。
読み手は、やがて重層構造を持つ神話であることに気付きますが、会話はユーモアに満ち、頓知も利いて軽快至極。心躍る問答と謎掛けで、想像が膨らみ、妄想も捗ります。坊やが愛おしくて堪らなくなるでしょう。
集落に現れた血塗れ危篤の患者、禁忌の森。同時に不穏な行く立ても示唆され、危機を孕んだ物語の進展に胸がざわつくのです。
風変わりな名を名乗り、怪しい単語を弄する患者の男はマレビト(稀人・客人)で、好奇心と冒険心、そして義侠心に満ちた坊やを本物の冒険へと駆り立てます。衝立を設け、禍をなすかのような「高位の存在」は果たして何者なのでしょうか?
時間と場所、記憶と想い。それらが交錯し、また新たに浮かび上がり、照らし出されます。軽やかな浮揚感と高揚感に包まれる最終幕は見事で、他の読者の喝采が聴こえてくるようでもあります。
そして結ばれた物語が、ひとつの神話、その断章ではなく、より壮大な神話体系の端緒にある旨を報されます。ふとタイトルを仰ぎ「編」の一文字を見て、なるほどと合点し、今後の活躍に期待を滲ませるのです。
名作なんですよ、間違いなく。読者にゆっくりと語り掛け、読者と一緒に考えていく感じのストーリーです。そして、本当に丁寧なつくりをした小説です。新キャラが出てきたとき、わざわざ外伝を設定して、新キャラを掘り下げるくらいの丁寧さです。
ただ「テンポ云々」とか言っちゃう人にはつらい小説かもしれません。物語全体がスローペースで、主人公が旅立つまで20話以上使っちゃってますから。でもですよ。20話以上使って「主人公」が旅立つ理由を「一緒に読者」に考えてもらう内容になっているのです。そして、その考察は、とても哲学的なのです。
「ファンタジー」と「ミステリー」の両方が好きな人におすすめな小説でして、世界観は「日本神話」にちょっと似ているかなって感じです。
始まりからとても不思議な世界観で1話が終わり、2話へと続いていくわけですが、読み進めていく内に、だんだん止まらなくなっていく、そんな作品です。
そしてなにより、隆という幼子の話し方や表現が独特で可愛らしい。
この作品の魅力は、登場人物たちの会話だと思います。隆が独特なら、他の登場人物もなんだか哲学的。
静かで穏やかな長閑村に突然ひとりの男が落ちてきたことで、話はどんどん展開されていく。男は恐神駿太郎。
駿太郎のいく先々では、不思議な事ばかりが起きる・・・。
後半の展開も見事でした。気になる方は読んでみてください。
御伽噺のような、不思議な世界を、ぜひとも堪能してみてください!
何回も言っちゃいますが、隆が本当に可愛らしいです(^_^)b
初めは情報が少なく、一体どんな物語なんだろうと探るように読み始めました。
穏やかで、ふわふわした、どこか浮世離れしている、ふわふわした、おとぎ話のような世界観。
物語が進むにつれ、登場人物にも強く感情移入していき、どんどん好きになっていく。Webよりも紙の本で読んだほうがしっくりきそうな風合い。
人物たちは、どんな状況においても、それぞれが自分らしくあって、それが時に可笑しくもあり、この作品の魅力になっています。
隆と駿太郎のコンビ、そして個人的に銀月梠がすごく好きでした。なんだかんだ言いながら優しい。ツンデレなのか。
神々は、孤独で、どこか寂しそうで、本当はみんなと一緒にいたいんじゃないかと思える。寂しがり屋の神様って、萌えますね!
夜寝る前にベッドの上で読んでいたい、純粋な心のファンタジー。
どこか東洋を思わせる不思議な村を舞台に、この物語は始まります。描写がとても丁寧に書き込まれているので、この村に暮らす住人の一人一人の様子や、原始的でありながらも不思議で神秘的な村の空気感まで伝わってきますね。物語の中で登場人物が全員、しっかりと生きています。もう、最初から引き込まれましたね!
はじめは馴染みの無い漢字の多さに少しとまどうかもしれません。しかし、夢中で読み進める内にスラスラと読めるようになりました。読み方をもう一度確認したりもしましたが、そうしてでも「読みたい!」という気持ちの方が勝りました。そうさせるだけの魅力が、この作品にはあります! 言葉や台詞や言い回し、どれもが作品の世界観を盛り上げてくれる感じが素晴らしいです。
あらすじ的にもまだ物語の序盤だと思いますが、今後の展開がとても楽しみな一作です。これからも更新を心待ちにしております!
間違いなく名作ですので、皆様も是非ご一読下さい! お勧めです!