ゴシックミステリ ―― 事実はいと奇妙なり
- ★★★ Excellent!!!
ゴシックな印象を受ける厳かな語り口が実に特徴的で、重めのミステリの雰囲気と実によくマッチしています。
例えるならば「グリム童話」でしょうか。
ふとした表紙に陰惨な雰囲気を差し込んだり、ぞわりと後味の悪いものを感じさせたり、そしてそれでいて先を読ませずにはいられなくなるような焦燥感を感じさせたり……とかく、読む者を深い深い暗闇へと引き込むような、言いようのない引力があります。
淡々と落ち着いて、しかし確実に異質で奇妙。
そんなどこか陰のありながらも煌々と夜を照らす、まさに「月」のような作品だといえるでしょう。