あえてタグを見ずに読んでほしいSF

 様々な世界線からカレーを食べにやって来る客との関わりから、個人の問題、そして世界へ……一万文字少々の文字数の中に、広い余白が見て取れます。綴られている物語だけではない世界に思いを馳せられる、そんな印象を受けました。「多次元的ご近所SF」……と呼べるでしょうか。しかしながらそれに留まらない展開が、終盤を更なる広々とした場所へと連れて行ってくれます。

 なんでもあるような世界の旅路を終え、本作を読み終わった後、こう思っていることでしょう。
 カレーが、食べたい!