人物紹介(完全ネタバレ)

※本話は完全なネタバレになっております。出来れば本編を読了してからお読み下さると嬉しいです。以下本文中の参考リンクです。


決死のタイムリープ

https://kakuyomu.jp/works/16816700428479422842


2人のライオネット

https://kakuyomu.jp/works/16817139559118530150




マィソーマ・ウルカン[火]パルチザン

 アール=ウルカン当主ソーマイトとマィリーンとの間に誕生。乳姉弟のデルト・ミナズと青年期まで過ごす。身体能力は高く勉学は苦手ながら礼儀作法は完璧。状況判断に優れる利発な性格の裏ではデルトに依存している部分が大きく、目的を前にすると周りが見えなくなる事も。攻撃は得意で防御はデルトに任せてきたので苦手。


 9年前のモンスターのスタンピードで両親を失い屋敷を追い出された事で貴族の出身ながら平民暮らしを余儀なくされる。


マィソーマ・ガイタス時代(プロローグ)

 デルトの提案で冒険者として共に活動しメキメキと戦闘力を鍛えていく。途中で知り合ったパーティー「リュウコ」のメンバーとなり戦闘の中核となる。攻撃力の強いメンバーと過ごすうちにデルトの慎重策に疑問を持ち始め彼を追放。

 Aランク昇格とともに王国騎士団に入団。高い実力と礼儀作法の身についている事が評価され憲兵隊第8部隊の隊長に任命。デューク=エアドと取引をし敵対勢力の捕縛・処刑に尽力する。その結果カウンテス=ウルカン当主に襲爵される。


マィソーマ・カウンテス=ウルカン時代

 カウンテス=ウルカン当主としてデューク=エアドの派閥運営に尽力。マークィス=ガルナノのクーデターを鎮圧するもクロン・エアド引退と共に派閥内での権力を失う。警備隊長ガランドに侍従長アザヌを暗殺される中、派閥内のトラブルで王都退去を命じられカウンテス=ウルカン領に蟄居。デルトにより執事スラクと共に暗殺される。


マイサ・カデン時代

 記憶喪失になった事から「マイサ・カデン」として生きる事に。自由都市スティバトの町クトファのクラン・ライオネスの世話役として2年間過ごすも記憶を取り戻す。

 故郷のネプトゥ領(旧ウルカン領)にて代官デルト・ミナズの逝去を知る事になる。

 行き場を失うもロザリスの町のギルド・グラーナに再び冒険者登録をし活動。ギルドマスターより教官の推薦を受け受諾。彼女の教育した冒険者達は高い実力と礼儀作法を兼ね備えた優秀な人材となる。



デルト・ミナズ[爆水(水と電の複合属性)]カエトラ

 元ウルカン家執事ラート・ミナズと侍従長リューノ・カデンとの子。当主の娘マィソーマとは乳姉弟。大人しい性格でありながら勤勉家で常に状況を分析して慎重に行動するタイプ。

 父ラート・ミナズより幼少の頃から使用人としての教育を受けていたため自分の生涯を懸けてマィソーマを守り抜く決意をしている。戦闘に特化した彼女を防御面と生活面で支える。そのため攻撃は苦手。

 穏やかな性格の反面貴族に仕える身分のためプライドは高く、他の人間達とは打ち解けることは少ない。


冒険者時代

 モンスターのスタンピードにより全てを失いマィソーマと共に冒険者生活をする事に。

 パーティー「リュウコ」の参入をきっかけにマィソーマによって彼の慎重策が疎んじられる事になりパーティーを追放される。

 元々教養・信念の低いリュウコのメンバーを全く信頼していなかったためパーティー内で孤立していた。この事が追放の原因となっている事には最後まで気づけなかった。


 パーティー追放でマィソーマの使用人としての使命を失い国外へ。隣国スティバトの町ゼルベに移住しギルド・ラジムにて活動。Gランク冒険者のアークハイドと監視役モーリィと知り合い意気投合しクエストを受諾した上で「トリニティ・フロント」に参入。彼らから戦闘術や農村復興の手段を学び実力を上げる。

 トリニティ・フロントが国外へ行き再びソロプレイヤーに戻ったところを、クエストの依頼主である母国シャンゾル王国の王太子クライツの話し相手となる。冒険者活動の合間に執事ラヒルから領地経営学を師事(デルト本人はただ読書のつもりに過ぎなかった)。


王太子客人時代

 クライツと護衛コオゥと共同でクエスト中に国外逃亡していたマークィス=ガルナノ一行と、王太子暗殺を試みたデューク=エアドの兵隊20人を撃退。その指揮官だった元メンバーのガランドを殺害しエアドを昏倒させる。続いてクライツよりカウンテス=ウルカン領の調査を依頼され、ウルカン領の財政帳簿を部外者に手渡した元メンバーのアザヌを殺害。

 王国の「マィソーマ・カウンテス=ウルカンの公開処刑」の情報をクライツから聞き自分の手でマィソーマを始末する事を決意。執事スラクに真相を語り殺害、その後マィソーマを挑発しながら彼女を仮死状態にする。ラヒルの手助けもあって国外に出た後マィソーマを蘇生させ身柄をギルド・ラジムのマスター・イレーヌに引き渡し、生活ができるよう職業斡旋を依頼。

 ゼルベの王太子邸に戻りクライツよりウルカンからネプトゥと改められた領地の復興を任される事に。その後臨時で行われた文官採用試験に首席で合格。王国文官となる。


ネプトゥ領代官時代

 クライツからネプトゥ領(旧ウルカン領)の代官に任命。補佐役ハインツ・ブラートと共に領内の地水工事を敢行する事に。3代前領主ソーマイト・ウルカンの研究資料をもとにわずか2年で豊饒な農地に開拓。水路工事で鬼力を使い果たして鬼力欠乏症を患い家臣達に見守られながら逝去。



-パーティー「リュウコ」-


ガランド[風]モーニングスター

 恵まれた体格・坊主頭・金壺眼

 パーティーリュウコのリーダー。粗暴ながらリーダーシップは高い。気前が良く仲間想い。細かい事は苦手。筋力トレーニングが趣味。

 元は彼とアザヌとスラクによる3人のCランクパーティーだったがマィソーマを加える事で戦力を増強。しかし彼女の相棒デルトの慎重策は邪魔でしかなかったため彼を追放した。

 Aランク昇格とともに王国騎士団へ入団するもマナー教育は身に付かず。憲兵隊第8部隊隊長となったマィソーマとともに任務を遂行。


 マィソーマがウルカン家の当主となったと同時にウルカン家の警備隊長に就任し同僚のアザヌと結婚。当初は真面目に任務を行うもウルカン家から支払われる給金が低い事に不満を持つ。


 王国を牛耳る野望を持つクロン・エアドからの誘いを受けウルカン家の任務の合間にエアドの指示で活動する。この最中に忠誠心はマィソーマからエアドに心移りしてしまう。


 ニコライ・ガルナノのクーデター妨害作戦で活躍し、その後エアドに従い隣国スティバトへ向かいゼルベの町近辺の森にいたガルナノを殺害。そのままエアドの命令でクライツ王太子を暗殺しようとするもデルトにより味方の兵士を撃退させられる。自身も応戦して戦うもののデルトの奇策により殺害された。



アザヌ[電]カギヅメ

 スリム・ショートヘア・切れ長の目

 強い者にはなびき弱い者には容赦しない。武器の性質から格闘戦や接近戦が得意。丁寧語を話すがファッションに目が無く教養は低い。


 パーティーリュウコでは財政を管理し質素節約する。その裏で活動資金を横領し自分の趣味趣向に使っていた。その事実をデルトに知られていたため彼の追放に協力する。


 マィソーマの提案で王国騎士団に入団し憲兵隊に所属。任務の合間にマィソーマからマナーを学ぶ。その経験を活かしてウルカン家の侍従長に就任し同僚ガランドと結婚。立場上マィソーマから依頼された買い物にて上前をちょろまかす事もしていた。

 夫ガランドからウルカン家の状況を聞き退職を考え始める。その矢先にガランドが殺害されると同時に貴族情勢を探り始める。


 ウルカン家没落を企むアーリン・マークィス=ウィンドルの依頼によりウルカン家の財政帳簿を入手し彼の手下に譲渡。これにより逆上したデルトに殺害される。



スラク[地]ダブルソード

 長身ヤセ型・ミディアムヘア・少し高い鼻でタレ目

 パーティーリュウコの切れ者。軽口をたたく自信家。武器と酒と女の話しかできないが学習態度は貴族も認めるほど。誰よりもマィソーマが好き。

 リュウコ時代からマィソーマに気があり彼女に付き従うデルトに嫌悪感・嫉妬心を抱いていた。ガランドにアザヌの意見を後押ししてデルトの追放に成功する。


 マィソーマの提案で王国騎士団に入団し憲兵隊に所属。マィソーマの指導もあり言葉使いや作法はガランドやアザヌよりも上達していく。何かと顔を合わす機会の多いクロン・エアドから領地経営の学習を勧められ、やがてはウルカン家の執事となる目標のためにエアド家の執事から学ぶ。

 トルゴ・リードフの護衛隊長との余興やニコライ・ガルナノのクーデター妨害作戦への参戦と次々に功績を挙げていくも、クロン・エアド失脚後は後ろ盾を無くした主人マィソーマと共に貴族社会では落ちぶれる事になる。もっとも彼の生き甲斐はマィソーマと共に添い遂げる事なので王都からの追放も些事に過ぎない。


 ガランドとアザヌが殺害される中実行犯がデルトである事を突き止め一人で迎え撃つも、デルトにより致命傷を負わされ且つクロン・エアドの計画やガランドとアザヌの裏切り行為、更には王国で予定されたマィソーマの公開処刑を知らされ最後まで彼女を案じながら息絶えた。



ロジャー・アール=ウルカン(ロジャー・バロン=ウルカン)

 マィソーマの縁戚者。良くも悪くも普通人に過ぎない。元バロン=ウルカンの領主で現アール=ウルカン領主。妻バーバラは貴族夫人達との交流で豪奢に振る舞う。令息キースは身分を嵩に着た横暴な性格で女好き。


 若き日の王立士官学校時代では遠縁ながら同じ一族であるソーマイト・アール=ウルカンを逆恨みしている。理由はソーマイトが成績優秀で周囲の人間から人気のあるためウルカン違いをネタにして揶揄われてきたからである。


 アール=ウルカン領にてスタンピードの発生でソーマイトから領民の避難を依頼されこれを受諾。隣領地にも関わらず兵力を領内に留めソーマイトと家臣団の死亡を確認し国王ハイベルクに報告。国王よりアール=ウルカン領を拝領しアール(伯爵)に陞爵する事となる。

 しかし収益の低いアール=ウルカン領に辟易し何の解決策も立てないまま、王都でガルナノ派として派閥争いに奔走し無為に過ごしてきた。


 9年後、宰相エアドから領地経営不振状態を理由にアール=ウルカン領主としての資格が無しと判断され、憲兵隊となったマィソーマに家族共々処刑される。



クロン・デューク=エアド

 中背ながら鍛えこまれた体躯・七三分けの髪型

 野心を持ち手段を選ばない。人との付き合いが上手く身分が下の庶民であっても能力が高ければ対等に扱う。逆に敵対する相手には身分が上位であっても容赦がない。


 十数年前から王国内で保守派閥の筆頭貴族となり暗躍。ガルナノの勢力を切り崩すべく調査しているとロジャー・バロン=ウルカンによるアール=ウルカン領の拝領とアール(伯爵)陞爵の真実を探り当てる。後に憲兵隊隊長となったマィソーマ・ガイタスの出自を見破り自身の手駒として引き込む。独自の調査網を使い敵対貴族を捕縛・処刑する事で宰相職を手に入れる。その権力を使ってマィソーマをカウンテス=ウルカン領主に襲爵させた。


 続いて更なる権力を得ようと第2王子ローレンツ・ロイヤル=シャンゾルとマィソーマを婚姻させ王太子の座をクライツから奪取し王国を牛耳る計画を建てる。マィソーマに懸想しているスラクに領地経営学を学ばせつつ、ウルカン領には出来損ないの領地経営人を置いた事でウルカン領をロジャー・ウルカン時代よりも貧困にさせた。

 理由はウルカン領自体の生産性が乏しく特産品も無い事と、マィソーマの持つ広大な領地を栄えさせる事は彼女を従えさせるエアドにとっても危険であるため。


 加えてウルカン領の警備隊長となったガランドを自身の配下に従える。着実に計画を進めようとしていた矢先、ニコライ・マークィス=ガルナノのクーデターが勃発。自身の想定内であるためマィソーマに作戦指示を出しガルナノの家族を拘束し屋敷にてクーデター軍を迎撃させた。伝令として馳せ参じたガランドを引き込み、兵士20名を引き連れ隣国スティバトのゼルベの町に向かい逃亡中のニコライ・ガルナノを負傷させる。その場にいた王太子クライツ・ロイヤル=シャンゾルを暗殺しようとしたが、護衛のデルトに兵士達を気絶させられて失敗。好戦的なガランドも殺害された事で逃亡を図るも逆上したデルトの攻撃を受け重傷を負う。


 その後クライツの計らいでシャンゾル王国に搬送されるもケガの後遺症で身体的障がいが起き寝たきり状態となったので家督を息子に相続。以後は改革派と共に保守派の派閥も急速的に勢力を弱体化していった。

 更には宰相職を罷免された後に敵対貴族であるデューク=リードフにより憲兵隊第8部隊マィソーマ・ガイタスと提携し自身の敵対貴族家を捕縛・処刑していた事実が明るみにされ、マィソーマ・カウンテス=ウルカンの公開処刑への下地を作ってしまう。



ニコライ・マークィス=ガルナノ

 坊主頭のちょびひげ

 シャンゾル王国軍将軍。高圧的かつささいな事で怒りやすい。平民を人間とも思わない階級主義の持ち主。


 王国を牛耳ろうとしているエアドに対抗するため改革派を名乗り派閥を結成。傘下の貴族の数は多かったものの憲兵隊となったマィソーマにより腹心の貴族を捕縛・連行され少しずつ勢力を弱められる。エアドが宰相職に就くと更にガルナノ一派は閑職へと追いやられる事になった。


 業を煮やしたガルナノは将軍の権限にてクーデターを起こしシャンゾル王城を占拠する。しかしマィソーマ・カウンテス=ウルカンの機転により家族を人質に取られた状態で兵力を分散させてしまいエアドの用意した兵隊達のより王城から敗走する事に。

 逃げ惑う中、隣国スティバトの町ゼルベに向かいクライツ・ロイヤル=シャンゾル王太子に助力を願うも拒否される。後を追ってきたエアドに随従していたガランドにより大怪我を追わせられる。その後シャンゾル王国に搬送されるも怪我が原因で死亡する。



アーリン・マークィス=ウィンドル

 尊大かつ卑屈。権謀術策の中を生き残るために生まれてきたような性格。高位貴族ながら意外とケチくさい。奥方は笑ってごまかすタイプ。


 ガルナノの派閥でありロジャー・バロン=ウルカンとは旧知の仲。ウルカン領警備隊と冒険者とのトラブルを利用してギルド・グラーナを脅迫するも王子クライツ・ロイヤル=シャンゾルの警告により失敗する。(2人のライオネット)


 マィソーマがカウンテス=ウルカン当主に襲爵を機にガルナノの派閥を抜けてエアドの派閥に入る。初手ではマィソーマを恩人扱いしていたものの、クロン・エアドの失脚後は態度を急変。空席となった宰相職を獲得するべく功績の高いマィソーマを抑え込もうとする。ウルカン家の侍従長アザヌを引き込みウルカン領の財政帳簿の入手を依頼するも、国政会議に登城中ウィンドル家の使用人の失態(武器の持ち込み)により王城の登城禁止を余儀なくされる。


 その後手に入れたウルカン領の財政帳簿を国王に提出しマィソーマ・ウルカンの爵位剥奪および処刑を提案し貴族達の全員一致で可決される。しかしマィソーマとのトラブルで貴族達の前で見せた醜態は彼の支持を失わせるには十分で、宰相職はおろか表立った行動が出来なくなってしまった。



ダリエ・アール=フィーレン

 お追従に長ける。真っ先に意見を主張し主導権を握る。奥方は貴金属に目が無くギルドと取引して珍しい鉱石を収集している。


 ガルナノの派閥でありアーリン・ウィンドルとは上司と部下の間柄。ギルド・グラーナを脅迫に手を貸すよう求められるも王子クライツ・ロイヤル=シャンゾルの警告により失敗する。(2人のライオネット)


 マィソーマ・カウンテス=ウルカンの襲爵を機にガルナノの派閥を抜けてエアドの派閥に入る。初手ではマィソーマを恩人扱いしていたものの、クロン・エアドの失脚はウィンドルに従い彼女とは距離を置くことになる。


 アーリン・ウィンドルの提案したマィソーマ・ウルカンの処刑を支持する。その後は国王やクライツ王太子が勢力を挙げてきたため大した活動は出来なかった。



ピエトロ・ヴァイカウント=アーモル

 遠慮がちな物言いだが武闘派で戦闘や試合になると勇敢かつ饒舌になる。奥方は対照的に口をすべらせ失言するタイプ。


 アーリン・ウィンドルとダリエ・フィーレンに誘われるままガルナノの派閥を抜けてエアドの派閥に入る。マィソーマを恩人扱いし、トルゴ・リードフとの使用人同士の決闘では審判役を買ってでる。勝者のスラクの腕を評価していた。


 クロン・エアド失脚後はウィンドルに従いマィソーマとは距離を置き、派閥内の目もあってマィソーマ・ウルカンの処刑に渋々賛成する。その後は爵位が低かったため王族から警戒される事はなかったものの逆に厚遇される事もなかった。



トルゴ・デューク=リードフ

 人当たりはいいものの傲岸不遜。自分の意見が通らないと暴走するきらいがある。家力の低落が著しく名ばかりの上位貴族。中立派でうまく立ち回れない。


 宰相職となったエアドを牽制するべくマィソーマに自身の三男と婚約を求めるも拒否される。自分の意見を押し通そうと使用人同士の決闘を申し込むもスラクにより敗れる。この件はマィソーマにより「余興」と受け止められるも彼の評判を潰すのには十分過ぎた。


 失意の中クロン・エアドの身辺を調査する事で憲兵隊第8部隊との癒着を突き止めるに至る。その後マークィス=ウィンドルの提示したマィソーマ・ウルカンの爵位剥奪に賛同し、マィソーマ・ウルカンの処刑を提案。

 しかしその後は家力の衰退や中立派故に人脈もなく王国での栄職には恵まれなかった。




ハイベルク・ロイヤル=シャンゾル

 ヤセ型・物静かな印象

 シャンゾル王国第4代国王。公平公正な性格。自分の主張はせず家臣の意見を聞く。というのは建前に過ぎず、代々続く貴族同士の派閥争いに頭を悩ませている。


 アール=ウルカン領のスタンピードによりソーマイト・アール=ウルカンの死亡の報告をロジャー・バロン=ウルカンより受け、空白には出来ない国境沿いのアール=ウルカン領をロジャーに拝領する事に。この件でマィソーマは理不尽にも家を追放される事になる。


 宰相エアドからマィソーマの生存の報告を受け、自身のうかつな行為に自覚があったためこれを受諾しマィソーマをカウンテス=ウルカンとして襲爵しウルカン領を下賜。


 その後ガルナノのクーデターやその死亡、宰相エアドの失脚と彼が手を下すまでもなく有力貴族が次々と敗退していく中でマィソーマ・ウルカンの暗殺を機に王族の勢力を盛り返す事に成功する。王太子クライツは自身の懐刀的存在。



クライツ・ロイヤル=シャンゾル

 短髪でオールバック

 シャンゾル王国王太子。ぶっきらぼうな言動ながら義に厚く、本来なら感情を覆い隠す必要のある王としては不向きな性格。本人も王族の不自由さを自覚している。


 幼い頃より文武両道に長け王国の動向に目を向けていた。アール=ウルカン領のスタンピードにいち早く気づき、執事のラヒルに命じてギルド・グラーナにウルカン領民の脱出支援とソーマイト・ウルカン一族の保護を依頼した。(2人のライオネット)


 ソーマイトの死亡報告をしアール=ウルカンに陞爵されたロジャーには嫌悪感は抱いていたものの国政上の理由で父ハイベルクの意向を黙認していた。


 国王と同じく貴族同士の派閥争いに悩まされていたので、王国の会議や式典には出席するも国内の貴族達とはほとんど交流を持たない。月一回隣国スティバトの町ゼルベに建てた別邸で一週間ほど過ごしている。


 ゼルベの町のギルド・ラジムのギルドマスターであるイレーヌ・ラジエルとは既知の仲。Gランク冒険者であるアークハイドの監督人を引き受ける事でデルト・ミナズと知り合う事に。彼の生真面目な性格を気に入りアークハイド出国後は話し相手として別邸に招き入れる。デルトから語られる出自を聞き驚くもより厚遇していく事に。


 興味本位で冒険者のクエストを護衛のコオゥとデルトの3人でしていたところ、クーデター失敗で逃亡中のガルナノと遭遇。ガルナノへの助力を断りデルトが追い払うもエアドの兵士達に取り囲まれてしまう。コオゥとデルトによりエアドの兵士達を撃退しギルドに任せてエアド達をシャンゾル本国へ搬送させる。


 自身を守ってくれたデルトを気遣いつつも、マィソーマの台頭に備えウルカン領の視察を彼に依頼する。報告書を見てマィソーマに領主としての資格無しと判断し爵位と当主剥奪の処分を下そうとする。しかしウィンドルの提出したウルカン領の財政帳簿より公開処刑が提案され全貴族の満場一致で決定されてしまう。正式発表を前にデルトへ伝え自分で決着をつけるように勧める。


 マィソーマ暗殺後は父ハイベルクと共に王族の勢力向上に邁進する事に。その第一歩として戻って来たデルトを王国直轄領となったネプトゥ領(ウルカン領)の代官に任命する。その際マィソーマ・ウルカン暗殺の件から混乱していた王城内を引き締める口実で臨時の文官採用試験を行い、平民だったデルトに王国文官の身分を与えている。

 自身の計画では5~6年で生産力を向上させるつもりがデルトの予想外の働きによりたったの2年で豊饒な農地に変貌した。しかし急激な成果を挙げた代償なのか信頼していたデルトは過労により逝去してしまう。


 国内の安定後、ギルド・グラーナの新教官マイサ・カデンの動向を聞きつけ死んだハズのマィソーマであると推測。その行動から純粋に冒険者の人材育成に取り組んでいるものと判断し、貴族社会に復帰する事のないよう警告しつつモンスターのスタンピードの最新研究結果の書類を渡す。


 余談ながらその後は王太子を第2王子ローレンツに譲位し王族から大公(クライツ・グランデューク=ネプトゥ)に降爵。初代代官デルトの遺した農地を守るべくネプトゥ領領主となり王国の宰相職を兼任する事に。



ラヒル

 銀髪で四分六分けの初老・口ひげ

 クライツ王太子の執事および幼少期からの監督者。年配ながら未だ文武両道に長けている。

 アール=ウルカン領のスタンピードに気づいたクライツの命を受け、ギルド・グラーナにウルカン領民の脱出支援とソーマイト・ウルカン一族の保護を依頼した。(2人のライオネット)

 クライツが休暇を過ごすべく隣国スティバトの町ゼルベに建てた王太子別邸を管理。


 平民ながら諸事控え目で礼儀正しいデルトを気に入っている。更に領地経営学に関心を持っているデルトにアドバイスする。興味本位で始めた事ながら面白いほどに知識を吸収していく彼を好ましく思い、自身の知る知識を短期間で叩きこむに至る。この事から彼にとってデルトは主人の客人であると共に弟子のような存在である。


 マィソーマを暗殺したデルトを気遣うクライツの命にて、遺体を引き取ろうとするデルトに死臭の漂う棺桶を与える。同時に用意した若い女性の死体をマィソーマの替え玉としてマィソーマ・ウルカン暗殺の既成事実を作り上げる。


 デルトが代官に任命される時には彼に領地経営学を習得させた事を告白。以後は彼に口出しする必要は無かった。デルトの突然過ぎる逝去には涙していた。

 クライツの降爵後はネプトゥ領の屋敷で家令を務める。



コオゥ[土]

 面長で細目・全身黒装束

 クライツ王太子の影目付。黙して語らず。デルトを信頼に値する戦士と認めているが、クロン・エアド達の襲撃でデルトの対応を見た事でより信頼する事に。

 クライツの命によりマィソーマ暗殺後は彼女の死亡を確認する。彼をもってしてもマィソーマの仮死状態は見抜けなかったが、主たるクライツはそれを追及することはなかった。



-トリニティ・フロント-

アークハイド[氷](水と土との複合属性) 無手

 長身ヤセ型・長髪・右目に眼帯

 Gランク冒険者。穏やかで理知的な性格ながら激情を秘めている。戦闘力だけで言えばAランク以上の力量を持つ。戦術だけでなく農業にも詳しい。

 イラザス鉱山から出所した元囚人。自身のGランクカードの記載によりどこでも爪はじきの扱いを受けるが監視役のモーリィのお蔭で人並みな生活を送る事が出来る。

 体調を崩したモーリィを背負っているところでデルトと出会い助けられる事に。その恩を返すべく戦闘技術を教示する。自身も複合属性のスキルを扱う事からデルトの隠された鬼力に気づいていた。


 以前事件を起こしたギルド・ラジムでの活動ではあったが、トリニティ・フロントに参入したデルトとの活躍もあって少しずつギルド職員達の心証が快復していく。また農業支援クエストにも精力的に引き受け農家達からは感謝される事に。同行していたデルトも農業技術を学ぶきっかけになった。


 デルトの話から自身の探し求めているウィルマとルーブルの情報を聞き彼らの目的地を推測。急遽シャンゾル王国を出国する事となった。

 別れ際にデルトにアドバイスした言葉は主人マィソーマから追放されたデルトに再び生きる道を考えさせるに至った。


※詳細は「決死のタイムリープ」にてご参照下さい。



モーリィ[火]不明

 中肉中背・一つ結び・ツリ目

 Eランク冒険者。活発で世話焼き。口調は男勝りで一人称は「アタイ」。元イラザス鉱山の囚人であるアークハイドの監視役。家事全般はほとんどこなす良妻型。

 アークハイドとの旅の途中で体調を崩しデルトに助けられる。自らのパーティー・トリニティ・フロントに参入を求め、助けられた恩もあってデルトに様々な世話を焼くことに。彼女の与えた調理や応急処置の技術はソロプレイを行うデルトにとって重要なものとなった。

 デルトの話からアークハイドの目的地が判明した事でアークハイドと共にシャンゾル王国を出国。



イレーヌ・ラジエル[不明]

 長身スリム・ロングヘア・大きな目

 自由都市スティバトの町ゼルベのギルド・ラジムのマスター。若々しい肉体を保っていて年齢不詳。所属している冒険者達への面倒見はいいもののギルドの違反者に対しては厳格。


 かつてアークハイドの襲撃によりギルドが軽微の損害を被ったため所属冒険者であったウィルマをギルド及びゼルベの町から追放を命じる。その理由は責任追及ではなく遠くない将来に出所するであろうアークハイドから彼女を守るため。同時にギルドで問題行動のあったクローデュ・リィロ・シルの3名をウィルマの仲間として同行させる。(決死のタイムリープ)


 隣国シャンゾルのクライツ王太子とは既知の仲。彼がGランク冒険者のアークハイドの監督責任者として名乗り出た事で新参冒険者デルトと対面。その生真面目な性格を気に入る。加えてアークハイドの出国後もあぶれがちになる農業支援クエストを受諾し無事に達成するデルトには感謝していた。


 クロン・エアド襲撃の件でクライツからケガ人の治療及びシャンゾル王国への搬送を依頼される。この時の彼女の詳細な報告―ガルナノとエアドの正式な入国が認められなかった事・半数以上の人員を軽傷で済ませていた事から相手の正当防衛である等―により国王ハイベルクもギルド・ラジム、ひいては自由都市スティバトと事を構えずに黙認する事となった。

 マィソーマ暗殺後、デルトから極秘扱いでマィソーマの移住及び就職とギルドカードの偽造を依頼される。クトファの町のギルド・ダタンと連携しクラン・ライオネスの世話係の仕事を与える。マィソーマの記憶喪失の事もあってクトファの町付近に倒れていた事にされた。

 その2年後マイサ・カデンと対面しデルトの冒険者時代の活躍を語る。



ハインツ・ブラート

 シャンゾル王国騎士団団員。能力は文武ともに高い。仕事は卒なくこなすが情熱に欠ける。年配者らしく若者を侮るクセがある。

 当初はネプトゥ領代官となったデルトを軽んじてはいたが彼の力量や才能に故郷への情熱を知り全面的に協力する事になる。一方でデルトの体調管理不足には気に掛けており、領内の農地改革が成功した暁には娘のハンナを嫁に差し出そうと思っていた。


 デルトの死後、遺されたネプトゥ領を守るため警備隊を組織。彼の遺言である「マイサ・カデンに領の仕事を与える」を果たすべくハンナと共に職務に励む。その後領にやって来たマイサにデルトの墓に案内し領での永住を勧めるも拒否される。


 更に2年後では再び発生したモンスターのスタンピードにもギルド・グラーナの戦闘員と連携して敢然と立ち向かい領地防衛に成功。



バイラン

 ウルカン時代から続くネプトゥ領屋敷の専属シェフ。腕はいいが気難しい性格。


 ロジャー・アール=ウルカンからシェフを務めてはいたが王都に滞在し領地に戻らないロジャーや次期領主マィソーマに愛想を尽かしている。

 ネプトゥ領に変更された時も代官となったデルトを信用せずハインツの嫌がらせに賛同する。しかし年の若いデルトに礼を述べられ逆に罪に意識を感じ、以後はデルトに協力すべく料理の腕を存分に振るう。



ハンナ・ブラート

 センター分けおさげ髪

 ハインツ・ブラートの一人娘。礼儀正しい一方で自分の意見は曲げずに押し通す面も。メイドとして働いているものの騎士の家出身のため武術に優れる。

 元々某伯爵家で令嬢の専属メイドをしていたが令嬢の結婚を機に退職し実家に帰省。父ハインツの呼び出しにてネプトゥ領の代官屋敷のメイドを任される。

 当初は女性に色目を全く使わないデルトに対して不思議な感触をもっていたものの、その真摯な人柄に少しずつ惹かれていき淡い恋心を持つ。時には叱りつけて体調管理を促す事もあったが、後にハインツからデルトには意中の相手がいる事を知り胸を痛める。


 デルトの死後はハインツの組織した警備隊に入隊。デルトの遺した農地を守りつつ彼の気に掛けていた「マイサ・カデン」がどのような人物であるかを見定めようとしていた。しかしデルトの墓の前で静かに涙するも決然と立ち上がったマイサの姿を見て思いを改める事となる。以後は亡きデルトにもマイサにも誇れるように領地防衛に励む。


 2年後発生したモンスターのスタンピード防衛に参戦。再会したマイサのギルド戦闘員達を指揮する姿を見て自分よりも更に高みに行っている事を知り悔しがっていた。



アミュス

 ボブカットで丸顔

 Bランク女冒険者。後にギルド教官となったマイサ・カデンの後輩。

 教官になる前のソロプレイヤーだったマイサが唯一面倒を見た相手。それ故に彼女に心酔している。譲り受けたショートスピアは宝物。




-回想及び設定のみ-


ソーマイト・アール=ウルカン

 文武両道に長け何事も冷静沈着且つ大胆に行う領主の鑑。代々続くアール=ウルカン当主でマィソーマの父。

 王立士官学校では成績優秀で超有名人。ライバル且つ親友であるラート・ミナズの頭脳と人柄を買い、本人に必死に頼み込んだ上でウルカン家の執事として雇用する。

 代々続く領地の貧しい農地への改革に燃えている。娘のマィソーマだけでなく執事の子デルトも我が子のように可愛がる。


 執事ラートの方針により質素倹約し領地開拓への資金作りに励む。また自らも領地内の地形を調査し、農業に必要な水路の建設図を考案。

 準備の整ったところでモンスターによるスタンピードが発生し彼と妻マィリーンを含むウルカン家の家臣30人が戦死してしまう。


 これによりウルカン領の農業開拓は遠縁のロジャー・娘のマィソーマの二代もの無能領主の統治が終わるまで10年という歳月を待たなければならなかった。



マィリーン・ウルカン(旧姓ガイタス)

 ソーマイト・アール=ウルカンの妻でマィソーマの母。貴族作法に長けているものの都会の喧騒や貴族同士の軋轢を嫌い静かな田舎暮らしを好む。

 七鬼学(セプテム)による戦闘術が得意で娘マィソーマの勇敢さ・利発さにずば抜けた身体能力は母親譲り。職務の合間に侍従長リューノ以下家臣達に戦闘術を教授。

 スタンピード防衛には幼い娘を置いて自身も参加し、凶暴なモンスターを道連れに夫ソーマイトと共に戦死してしまう。


 ウルカン領を追い出されて冒険者となったマィソーマはトラブルを避けるため、貴族性「ウルカン」の名乗りをせず知名度の低い母の旧姓「ガイタス」の名前を名乗る事になる。



ラート・ミナズ

 頭脳明晰で二手三手先を打つ策略家。没落貴族の子孫で家自体も爵位は持たず実質的には平民。特待生として入学した王立士官学校では上位のソーマイト・ウルカンを抑えて座学では首席を取り続けている。ソーマイトとはライバル且つ親友となる。

 士官学校卒業後は王城の文官職の推薦を辞退しソーマイトを当主としたアール=ウルカン家の執事となる。立場もあって息子デルトには幼い頃から執事教育を行う。その教えがあってデルトはマィソーマに仕える事を己の使命としていた。


 スタンピード時には主君ソーマイト夫妻とウルカン領、そして令嬢マィソーマと息子デルトを守るため参戦。自身を含めた防衛戦希望者からなる家臣の30名と共に戦死。

 また生前には自分の職務の合間に領内各地の土を採取し気候を調べた上で、農業の専門家から聞いた意見を研究結果として膨大な書類にまとめ上げる。


 この研究結果とソーマイトの遺した水路建設図により、後に代官となったデルトは一気に水路工事と農地開拓に取り掛かる事が出来た。それ故に通常なら10年かかると言われる農地開拓をわずか2年で成し遂げた。



リューノ・カデン

 アール=ウルカン家の侍従長でラート・ミナズの妻。当主の令嬢マィソーマ・ウルカンが生誕し同時に子息デルトも誕生したためマィソーマの乳母となる。他国の貴族家の遠縁にあたるため平民でありながら自分を律し、貴族に連なる血縁者としての矜持を保っている。

 故にマナー教育には厳しいものの、主人の令嬢マィソーマに息子デルトは幼少時から仕込まれていたため自然に礼儀作法が身についている。

 スタンピード時には夫ラートと共に主人マィリーンから教わった戦闘術を駆使して参戦するも戦死。


 後に仮死状態にして王国から脱出させたマィソーマを守るため、デルトはギルド「ラジム」のマスター・イレーヌに偽名のギルドカードを発行させる。その名前はマィソーマの幼名「マイサ」とデルトの母方の姓「カデン」を組み合わせて「マイサ・カデン」とした。



ローレンツ・ロイヤル=シャンゾル

 シャンゾル王国第2王子。兄クライツとは違い父ハイベルクに似て穏やかな性格。それ故にクロン・エアドからはクライツよりも扱いやすいと判断される事に。

 後にクライツから譲位され王太子に。宰相となったクライツ・グランデューク=ネプトゥと協力してシャンゾル王国を発展させていく。

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緋き牙と碧き路 naimed @naimed

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