私の初恋は、まるでガラス細工だった。

 十六歳の時、女子高生だった主人公は、彼に「初めて」をあげるつもりだった。しかし、彼はそれを拒否して、しばらく連絡も取れない日々が続いた。
 彼は医師の家系に生まれ育った歯科医だった。主人公が歯の矯正の後に親知らずを抜くことになり、知り合ったのが、彼だった。理想の彼氏に見えたが、彼は自分の母親を「理想の妻像」として見ており、主人公は飾り立てて自慢するだけの玩具だった。
 ある日、そんなことに気付いた主人公の体に、ある変化が訪れる。

 初恋の味は甘いというが、主人公の初恋は違っていた。
 日々や体を重ねても、空白は埋まらずにいた。
 淡々と描かれる主人公の苦しみが、胸に迫ります。

 是非、御一読下さい。