作者様の作り出す雰囲気が光る作品です!
身近にはいないけど巷にはいそうな人物達によるあり得なくもない展開。暗いようで、でも明るい。絶妙なバランスで紡がれています!
この作品に対するレビューではありませんが、作者様が例えば現実離れしたファンタジー世界を描くとしたらどういう世界観になるだろうかと思うところです。
はじめ読んだ時は、純真なままでいたくない少女が出来心で足を踏み入れてしまって後悔した話かと思っていたのですが、逆に、あくまで自分の気持ちに正直でいようとした、つまり天真であろうとした少女→女性の物語かもと考えが変わりました。天真から変わろうとした、天真であろうとした。どちらでも天真には至っていないという風に捉えれば、だからこの物語がテンシ日記なんじゃないかと考察したりしました(作者様には一切確認していませんがw)。
すぐ読み終わってしまうことが惜しいような気持ちになる作品です。ぜひご一読ください!
十六歳の時、女子高生だった主人公は、彼に「初めて」をあげるつもりだった。しかし、彼はそれを拒否して、しばらく連絡も取れない日々が続いた。
彼は医師の家系に生まれ育った歯科医だった。主人公が歯の矯正の後に親知らずを抜くことになり、知り合ったのが、彼だった。理想の彼氏に見えたが、彼は自分の母親を「理想の妻像」として見ており、主人公は飾り立てて自慢するだけの玩具だった。
ある日、そんなことに気付いた主人公の体に、ある変化が訪れる。
初恋の味は甘いというが、主人公の初恋は違っていた。
日々や体を重ねても、空白は埋まらずにいた。
淡々と描かれる主人公の苦しみが、胸に迫ります。
是非、御一読下さい。