一つのDV案件に見る、加害者と被害者を取り巻く複雑で根深い呪いの相関図

妻に暴力を振るった男が逮捕された。
とあるDV事件の関係者それぞれの視点で、事の顛末や心境が綴られていきます。

家庭の内部で起きることは、外側からは見えづらい。
この作品に登場した語り手の誰しもが、決して特殊な性質の人というわけではありません。
もしかしたら、自分の家庭も内包しているかもしれない問題。

誰が加害者で、誰が被害者だったのか。
田舎の村の空気感や親世代の考え方、そこから地続きにある価値観と、子世代への影響。
呪いとも言える歪みが、ありありと描き出されています。

意外なラストでしたが、同時に腑にも落ちました。
凄まじいリアリティの作品です。ぜひご一読を。

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