月影に涙する異邦の少年は、やがて剣を取り救国の英雄となる

救国の英雄――ルナ・ベルスレイフ。五十人斬りの伝説のサーベル使いは、しかし本当は、かつて女の子として生を享けた筈の、美しい少年だった。過酷な運命に翻弄され、すべてを失い続けるルナ。しかし、自らの夢と憧れを追い求めて、満身創痍になりながらも、人生という名の断崖に取り縋り、攀じ登る。その姿を、―――その暗闇の中で発する生命の、その一瞬のきらめきを、この物語に写し取りたい。「地中海の乙女」・「灼眼の殺戮人形」・「双剣の娼姫」・そして「片翼の鳥」と呼ばれた少年の、美しくも、アブナイ、物語。