急行伊瀬貝線

国鉄伊瀬貝線伊勢貝駅
とある県庁所在地から少し離れた終着駅。
都市部の駅を朝六時時発車の下り列車から二十二時発の上り列車まで一一往復の小さな国鉄線。
客車数両がディーゼルか蒸気の機関車でゆったりと運行している。
どこにでもありそうな地方特有の赤字国鉄線だ。

だが他の赤字続きの国鉄線とは違い関係者しか知らない秘密があった。

朝に二本、昼に一本、夕方から最終まで二本都市部へと向かわない列車がある。
いつからそんな列車が運行されるようになったのかは誰も知らない。
伊瀬貝町民も気にしている人もおらずさも日常のように『あちら』から『こちら』に来る人々のことを歓迎していた。
そんな人々を載せた列車は今日も走り『あちらの住人』たちからは『急行異世界線』と呼ばれている。