エピローグ

子烏亭は営業中

 なりゆきのままにオレは小烏亭の後を引き継ぐことになった。


 客は大勢来るけれど、たいして儲かっていない。

 本当に隠れ家みたいな店だし、実は人間にはなかなか見つけられないのだ。


 オレがここを見つけたのも、平九郎に出会えたのも、実は平次郎さんのレシピ本をそのまま作って食べたからなのだ。知らない間にオレにも霊力がついていたというわけだ。


 そんなわけで客はカラス天狗ばかり。

 しかもタダ飯を食いに来るのだから仕方ない。


 でもまぁそれでもいい。

 みんなおいしそうに食べてくれるから。


「こんにちは! セキカワさん!」


 そして久しぶりに平九郎たちがやってくる。


「いらっしゃい! 平九郎、トモカちゃん、ジローさん!」


「関川殿、今回のお招き、ちと早すぎませんかな?」

「いらっしゃいませ、霧月様。実はいいアスパラも入りましてね。今回のコースに加えたかったんです」


「天ぷら? 天ぷらがいいな!」

「フライもうまいぞ」

「ボクはセキカワさんがつくるものならなんでもいいデス!」


 オレたちはちいさな出会いと別れを繰り返す。

 それでもその道はずっとつながっている。


 願わくばこの道がずっと明るく照らされていますように。

 知り合ったみんなといつまでも楽しく暮らせますように。


 オレが願うのなんてそれだけだ。

 

 ということで最後に宣伝をさせてくれ。

 たまには人間が来てくれないと店がつぶれちゃうから。


『小烏亭ではお客様のご来店を心よりお待ち申し上げております。

 運が良ければかわいいカラス天狗にも会えますよ!』



 ~おしまい~

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カラス天狗の子 関川 二尋 @runner_garden

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