無垢なる魂は人の世の闇と光に触れながら。

自分を救ってくれた和尚に報いるため、自らの魂を差し出した燕の篭(ろう)。

彼の差し出した魂は、鬼に憑かれ、魑魅魍魎に侵された十馬の身体に宿ることとなる。

兄十馬の変貌ぶりに不審感を抱いた弟の宗十郎は十馬の中に宿る魂が兄のモノではない事を見抜き、目の前にいる兄は燕の篭であることを知る。

二人は十馬の中に潜む鬼を祓うための過酷な旅に出ることとなる…


悪鬼が潜む物陰の闇。
魑魅魍魎が跋扈する貧しい村々。
武士と農民の危うい関係性。

人の心に巣食う様々な穢を、無垢な燕の魂が見つめる和風怪異譚!!

魅力的な登場人物達が怪異蔓延る古の日本を舞台に希望を求めて藻掻く様は胸を熱くさせます。

怪異の描写がゾクリと背筋に冷たく、人の温もりはどこまでも心を温かくさせてくれる。

種族も身分も立場も超えて、心を繋ぐのは心。

作者様が丁寧に創り上げられた世界観と、それを支える高い表現力が、瞬く間に読み手を、じめじめと魑魅魍魎蔓延る古の日本に惹き込んでくれます!

素晴らしい作品。
オススメです👍

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