しりとり使った小説読んでみない?

ナガレカワ

第1話 やっぱりまずは「り」から始めましょう

アダムとイブがその実を食べたという逸話が残り、万病の薬とも称されるその実をポケットにつけたスカートを私は履いていた。

インパクトがあり、かつ話の種になりやすそうなそのスカートを履いていったのは、人見知りな私のひとつの策であった。

春という季節は人見知りにとって一番体力を使い今後の運命を左右すると言っても過言ではない季節なのである。

そして、思い通りにというかなんというか、私のスカートに食いつき話しかけてくれる人がたくさんいた。その中でも話しやすかった彼はなんという名前だったか。




サークルという響きに憧れ入ったはいいが何をするサークルなのかよくわかっていない。意外とみんなそのようなものなようで友達や恋人を作りにくることが目的だと思われる人も多い。だが、久しぶりの動物園はいい。少し動物園臭いこの香りも、黄色みがかったガラスもいい。あ、あそこにいるのはこの間のスカートの子じゃないか。隠れ面白い子だったな。話しかけに行くか。やっほー、ねぇねぇ知ってる?あの動物さ、叩いてる動作ってドラミングって言って実はパーで叩いてるんだよ。




この間の動物園は楽しかった。あの人動物のいろんな豆知識知っててあんなに楽しかった動物園ははじめてだ。それにあの人もジブリ好きって言ってて気も合うし。ラピュタで主人公が吹いていた曲を目の前で吹かれたら私、絶対に好きになっちゃうと冗談で言ったらじゃあ俺あの楽器練習しないといけないねと言っていた。彼はどう考えて、そのような発言をしているのか。少し期待してしまう。




君はパスタではなく、スパゲッティという。その少し前の言葉を使う感じが僕は微笑ましく思えてしまい毎回、パスタでしょ、と言ってしまう。すると彼女は少しむくれて別にいいじゃない、同じようなものだし。というのだ。その顔が可愛くて僕は今日も指摘する。ズボンじゃないでしょ、って。




春になりにょきにょきと生えてくるそれらを見ると摘みたい衝動に駆られる。そう私がいうと、じゃあ摘みにいこうと元気にあなたは言う。

川沿いに行くとそれはもう沢山生えていて、摘んでも摘んでもなくならないように見える。2人で一緒に摘みながら、世間話をする。あぁ、なんて幸せなんだろう。




美味しい!僕が言うと君はいつも少し気恥ずかしそうにありがとうと言うね。君は僕の好物を把握して、ハンバーグやカレーを作ってくれる。

特に君が作る豚肉の料理は最高。豚肉と一緒に香るこの少しツンとした匂いが僕はたまらなく好きなんだ。本当にありがとう。

明日も君の料理が食べたいな。




私は今日もあなたのために料理を作る。美味しいと言ってくれるのが嬉しくて作るのは楽しい。

今日はおでん、何を入れようか。卵にこんにゃく、大根…あとこれも入れようか。

これ私は苦手なんだよなぁ。どうしてもこのぶにゅとした食感と噛むと汁が出てくる感じ、具材が入ってる感じが…。でも入れる。あなたが好きだから。あなたは私の好きな食べ物を知っているのかな。




僕は浅漬け、ポテトサラダが好き。しかし、それらは、あいつで構成されていることがある。あいつがいると、水っぽくなって嫌だなと僕がふと言ったことを君は覚えていて、いつも抜くか違う食材で作ってくれるね。本当に君は優しい。

ぼくたちは本当に食事の好みが合うよね。




久しぶりの動物園。あなたと付き合うきっかけになった場所だから、私は、ここにあなたともう一度来ることを楽しみにしていた。あなたは、前、私に言ったように色々な動物の雑学を言っていく。

しかし、雑学ばかりを言って私の話は聞いてくれないんだね。

あなたは誰に向かって話をしているの?

あの動物が食べ物を口に貯めるように、私も自分の言いたいことを溜めてしまっているのだろうか。




この間の動物園はとても楽しかった。付き合うきっかけになったところだねと言い合いながら、君とのんびり回る動物園はとても充実していた。

僕の雑学を嫌がらずに聞いてくれる君に、どんどん話したいと思うし、どんどん君と色々な動物を見たいと思うんだ。スイスイ進む僕に君は早いよ、と言ったけれどそれはそうだよ。早く回らないと勿体無いし、どんどん雑学はあるんだから。

帰り道にも、雑学は忘れないよ。

ほら、あの鳥はチュンチュンって歩く時、跳ねながら歩いているだろ。あれはホッピングって言うんだ。



川を見かけるとあの歌を思い出す。

さて、あの魚の学校はあるのかなって、そっと覗いて見てみる。のんびり流れる川の流れを見ていると、これからのことを考えてしまう。私は彼と居て幸せなのだろうか。わからない。話が合うことがあって嬉しくても、嫌なところを思い出してしまい帳消しになってしまう。

あぁ、魚のように自由に泳いでいたい。



僕はそういえば昔あれを食べてお腹を壊したことがあるんだよねと言うと、君はお腹冷えちゃうもんねと言った。

え?お腹が冷える?それよりうまく温まってないからじゃない?

え?温める?冷やすでしょ、果物だし。

と言ったところで2人で勘違いに気がついた。

違うよそっちじゃないよ。同じ響きだけどね、と2人で笑い合った。

あぁ、こういう日常が一番幸せだなぁ。



あなたとは本当に合わない。好きな食べ物も好きな動物も。

でも、それでもよかった。あなたが好きだったから。でもあなたは、私のことを知ろうとしない。私ばかりが知って、私ばかりが遠慮して。そしてそのことにあなたは気づきもしない。そう思うとどんどんあなたの嫌なところが浮かんでくる。

もはや、目玉焼きのあの部分が半熟か完熟の好みが違うだけでもイライラしてくるのだ。

もう私たち終わりなのかな。



朝起きると君がいる。それだけのことが僕にはとても嬉しいことなのさ。

君の作ってくれる朝ご飯を食べて、君からのいってらっしゃいを聞く。

あぁ、幸せだなぁ。

明日も明後日もずっと君といたい。

君もそうだと嬉しいな、いやそうに違いない。

だって、ぼくたちは本当に気が合うんだから。

炬燵に2人ではいっているこの時間が僕にはとても愛おしい。

さぁ、君の名前を今日も呼ぶ。

「ねぇ、みのり」

          or


2人でも生活も疲れてきた。2人で暮らすと嫌なところもだんだん見えてくるし、彼は自分の生活を変えようとはしない。私は、尽くしたいわけではなく、あなたと生活を作り上げていきたいのに。

前までは2人で入る炬燵も温かったのに、いまではあまり温まらない。

こたつで食べる果物といえばこれ。白いところに栄養があるっていうけど、私はない方が美味しいと思う。

そうか、無い方がいいこともあるのか。決断することも大事なのかもしれない。



答え



りんご→ゴリラ→ラッパ→パンツ→つくし→生姜→がんもどき→きゅうり→リス→雀→メダカ→牡蠣→黄身→みのり(彼女の名前)

  →みかん

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