ここまで「★3つけたくない」と強く感じた作品は初めてです(つけますが)

なんで★3つけたくなかったか、といえば、本作に登場するセレモニーが「死体を損壊し、その芸術点を★0~3で評価する」という内容だからにほかなりません。
……どうしても被ってしまうんですよねえ、作中のあれこれと。


ともあれ。
他国に占領された北海道で、死体損壊セレモニーに遺体を差し出すことで、残された家族が生を得ようとする――本作はそんな内容です。
被占領民の日常も、ショーの詳細も、ディテールが異様に細かく具体的で、実際に将来こんな事態も起こりうるんじゃないかと思わせてくるリアリティが恐ろしいですね。

公開処刑が娯楽になる、というのは洋の東西を問わず昔からありましたし、残酷な死を楽しむ性質は、人間の根源的などこかに存在しているのかもしれません。
占領者と非占領者の理不尽な非対称性などとも相まって、非常に重苦しく、読んでいて気持ちが良い内容ではまったくありません。
最後に示される主人公の強い意志も、個人レベルの希望というよりは、むしろ周辺世界の絶望を際立たせているように感じます。
ですが、こういう世界を描き出せるということ自体が、Web小説の「可能性」の一つであるようにも思いました。

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