ゆっくりと、止まった時間が動き出す

二十一歳の牧瀬陽人は、働いていたレストランが倒産し、路頭に迷っていたところを強面の男性・滝川に助けられる。大工である滝川の職人としてのアツい想いや切ない過去、多くの人との出会いに触れ、陽人の止まっていた時間が動き出す。

とても温かくステキな物語、面白かったです。古い物を捨てるのではなく、直して、磨いて、新たな命を吹き込んでいく滝川。物をもっともっと大切にしようと思いました。また、家族の形や人との向き合い方も教えてくれる作品です。

辛い思いをしたからこそ気づける優しさがあり、一見明るく振る舞っている人にも、抱えているものがあるかもしれません。出てくるキャラクターがみんな穏やかで優しく、自分の悩みも聞いてほしいなぁ、なんて思いました。

古い物の良さを生かしながらリメイクするように、陽人は陽人のまま、滝川は滝川のまま、ゆっくりと前へ進んでいきます。爽やかな風を感じる物語、ぜひ読んでみてください!

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