圧倒的な知識量と、確かな重厚感で描かれる『戦場』を覗いて見て欲しい!
- ★★ Very Good!!
あらすじにもあるように、最強狙撃手の男と、彼を支える天才スポッターの女を描いた作品です。
まず驚くのは作者様の圧倒的な知識量。
前半部分、およそ第5話までは物語というよりはどちらかと言えば教本に近いもの。私のような一般市民にとっては、なじみの薄い軍や武器に関する知識を細かく知ることが出来、これから語られる物語全体への理解を促してくれます。
それでいて、一人称(主人公の口調)で軽やかに語られるそれらに退屈さは覚えず、自然と、無理なく最低限の知識が入ってくる。不要な知識が作者様によってしっかり選別されているのだと感じます。
そうしていつの間にか出来上がっている基礎知識を持って、最初に描かれるのは演習風景。
ここで主人公とスポッターさんの“凄さ”が描かれるわけですが、さすがというかなんというか…。
ひとまず、戦場ではそこにあるものを利用しろ、という考えを実行する2人の姿は良い意味でゲスイ!
倒した敵兵の持ち物、あまつさえ死体(仮)を利用して罠を仕掛ける主人公。時に見方すらも利用してのける天才スポッターさん。
普通の視点から見ればクズとも言える行動ですが、彼らが幾多の戦場を生き抜いてきた人物として描かれている以上、それはきちんと経験・知識に基づいた行動だと、きちんと納得できます。
そうして不快感無く、様々な方法で敵を倒していく主人公たちの姿には爽快感があり、読後感も素晴らしいものでした。
これらを人の生き死にが無い演習として最初に描いたことも、個人的には好感が持てます。
以上、9話読了までの評価です。
小タイトルや他の方のレビューを除く限り、おそらくここから本格的な戦場で活躍する2人を見ることが出来るのだと思います。
内容は確かにミリタリー系ですが、専門的な知識のない私でも楽しむことが出来ています。戦場での考え方など他のことにも通ずる知識を興味深く、わかりやすく学べるという意味でも、一読の価値がある作品。
今後彼らがどのように活躍し、“軍部”や“戦場”を教えてくれるのか。圧倒的な知識量で描かれる、重厚感のある世界に期待大です!