名もなき花に託された希望は、夜を纏う。

 主人公はまだ十三歳の少女だった。その少女の村を、ある日盗賊が襲った。無残にも殺されていく人々。焼かれる家々。それは女や子供も関係ない残忍さだった。主人公は村の近くの岩に身を隠すが、女の子から少女に成長していた主人公には、小さかった。
 それでも少女は何とか生き延びて、村から逃げた。暗い、暗い、夜のことだった。村にはきっと、もう誰も生きている者はない。孤独。恐怖。絶望。
 逃げた先に、少女はある男と出会う。
 
 果たして男は、盗賊の生き残りか? 
 それとも——?

 主人公の心情と、焼かれていく村の表現が好きでした。
 
 是非、御一読下さい。