私だけのヒーロー

Azu Kian

第0話「大いなるお友達の憧れ」

 主星と双子のようにあつかわれる従星で見つかった化石かせきが、なぜ主星ここに有るのかと質問されれば、大戦のドサクサにじょうじて誰かが勝手に持ち帰ったと答えるしかない。


 しかし吾輩わがはいは入手の経緯けいいなどに関心はない、化石が宇宙生物の存在を証明した事が重要なのだ。

 ゆえに、あの伝説が事実なのだとピピッときた吾輩は主張しているのだ。

「あの星には実在した!」と



 吾輩はドラゴンが天をがし地を焼き払う姿にピピピッときてモーレツにあこが畏怖いふする。

 ところが化石の発掘された地層から著しい環境変化と幾つかの元素を発見したクソ学者が火山活動の結果だとポエムしやがった。


ちがうのだ!断じてちがーう!!」

 ドラゴンの放つ宇宙戦艦も丸焼きな火炎かえん咆哮ほうこうが、激しい温暖化と放射性元素をまきらした痕跡こんせきなのだ。

 そんな簡単な真実が何故なぜわからんのだ、似非えせ科学に傾倒する妄信者もうしんじゃめが。



 吾輩は正統なる信仰からピピピピッとくると実力を行使する為に皇立研究院を目指した。そこが化石を保管し所有権までも保持しているからだ。

 それは吾輩の神器じんきなり背信者に鉄槌てっついを・・・。


 なぜ吾輩が雑用なんぞしたの仕事から始めねばならんのか時間の無駄だ。

 ここは愚物どもが上から下までギュウギュウ詰まった伏魔殿ふくまでんのごとし、何をするにも邪魔が入るクソ悪魔どもめ。


 しかし吾輩は違いが分かる使徒しとごとくピピピピピッときめて化石の破片を入手する幸運をつかんだ。もはや吾輩と神をへだてるあたわず。



 吾輩とした事がなんたる無様ぶざま、脳神経系の研究を表向きとして育てた緊急きんきゅう徴発ちょうはつされるとはクソクソクソがー。

 艦隊持ちクソ貴族のクソ滅茶めちゃぶりにクソ巻き込まれたが代わりに、あの化石の使い放題の確約を手に入れた。


 吾輩の幸運は健在なり、あきらめんぞ!ドラゴンをこの宇宙に解き放つその時まで。




 ☆

 ☆☆

 ☆☆☆


 本作主役の執念は当の本人が知らぬ間に望んでいなかったかたちで世に放たれていくのでした。

 関連作「ようこそ我が艦隊へ!新入生の皆さん宇宙実習の時間ですよ」

 https://kakuyomu.jp/works/16817139555262222732

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私だけのヒーロー Azu Kian @sencyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説