預金通帳に託されたふたりの絆――

あなたにとって信頼に足る人物とは一体どういうひとでしょうか。

このお話の主人公であるお婆さんは、介護サービス付きの高級マンションで余生を過ごしています。

世話をするのは気のいい家政婦さん。
ほかに身寄りもなく、財産を残す相手もいない。

彼女は自分亡きあと、その家政婦さんに「二枚の預金通帳」を託すといいます。
現代社会の価値基準において、血のつながらない他人への最高の評価といっていいでしょう。
しかし託されたのは「お金」ではなく「想い」なのです。

老婆が何十年にもわたって続けてきた「花火の日」の儀式めいた約束。
その真実が預金通帳を通じて紐解かれます。

すべてを知ったそのとき。
あなたの信頼は揺らぐことなく、最愛のひとに向けられるでしょうか。

まずはご一読を。
きっと優しい気持ちになれます。