概要
誰だって死にたいなんて思うわけがないんだよ
「良くぞ参られた、異世界の聖女……よ……?」
光の去った魔法陣に向かい諸手を挙げて歓迎の意を示していたイケメン――ケルヴィン王子は、そこに現れた人物の姿を見た途端、首を傾げた。
サラリと伸ばした白髪、顔に刻まれた|皺《しわ》、曲がった腰、身体を支える杖……。
五十年に一度しか執り行えない秘術中の秘術である、【聖女召喚】の魔法陣の中央に立っていたのはそう……。一匹の犬をリードに繋いだ一人の老婆だったのだ。
「おやまあ、これが孫が言っていた異世界転移ってやつなのかねぇ。そうだねぇゴン太、びっくりしたねぇ」
「キャンッ、キャンッ!」
周囲の困惑にも動じる様子もなく、ゴン太と呼ばれた柴犬を撫でて宥める老婆。
|芹澤《せりざわ》トミ子、八十八歳。趣味はゴン太の散歩とオセロ、そし
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!これは、コメディーではない。
Twitterで発見したテケリ先生の御作、
88才のおばあちゃん、(芹沢トミ子)が異世界に召喚された。
まずは謝罪。 初めは異世界に召喚されたのがこんな棺桶に片足を突っ込んだ死にかけのおばあちゃんと言うことで、召喚したマジピェン王国の絶望のコメディーかとかと期待していました。
そして、読んでるだけで、ゲスな笑いを誘ってもらえると期待してました。
本当にもうしわけありません。
ですが、このお話しには命を感じさせるものたありました。
それが、おばあちゃん、セリフ『誰だってしにたいわけじゃないんだよ』
お話しを読んでるうちに、ヤバイものを感じました。
ズバリ、マジ…続きを読む