88歳で死ぬらしい

@mia

第1話

 私は88歳で死ぬようだ。

 食事や趣味、運動、日常生活などの質問の答えを選択肢から選んでいくとその人の寿命が分かるアプリをやった。

 その診断結果が88歳だった。

 高校生の私は、八だし、長生きだし、「いい方なんじゃないかな」と思った。



 ふと、高校生の時にやったアプリの診断結果を思い出した。

 もう70年以上前にやったアプリの診断結果だ。

 思い出したのは米寿のお祝いの会をしているからか。

 子ども、孫、ひ孫が集まってくれた。

 子ども達がみんな揃うのは何年ぶりだろう。幸せな気持ちでいっぱいになる。

 つらいこともあったが、今笑って過ごせることに感謝しかない。

 お祝いの数日後、幸せな顔で逝った。


 ……という夢を見た。



 ふと、高校生の時にやったアプリの診断結果を思い出した。

 もう70年以上前にやったアプリの診断結果だ。

 自分が88歳になって思うのは「いい方」じゃなかった、ということだ。

 家族にも健康にも恵まれていた人生だと自分では思っている。 

 でも今、ケガや病気などないのに自分が弱っているのが分かる。

 先は長くない。悔しいが、もう寿命なのだろう。

 健康寿命が120歳の時代なのに。

 

 ……という夢を見た。 



 ふと、高校生の時にやったアプリの診断結果を思い出した。

 もう70年以上前にやったアプリの診断結果だ。

 あの頃はのんきだった。

 今日と同じ明日が来ると信じていた。否、信じる信じない以前の当たり前のことだった。

 今の私は今日が何年何月何日かさえ分からない。

 充電できないスマホは、私に何も教えてくれない。

 この世界に、電気の通っている場所があるのだろうか。

 晴れていれば、昼、夜で1日とカレンダーに印をつけていけ日にちは分かったかもしれない。

 でも、あの日以降曇ったままだ。

 私だけが生き残った世界。

 今の私は、自分の正確な年齢が分からない。

 ひとつだけ確実なことがある。

 私が死ぬのは、88歳だ。

 

 

 

 

 

 

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