イメージカラーは緑!

篠宮玲

イメージカラーは緑!


授業終了のチャイムと共に親友の夏希 なつきが声をかけてきた

「ねっ!姫花 ひめかはラビューの誰推し?」



LoveU(ラビュー)とは、男性5人組のアイドルグループだ

メンバーは、 ツバサ琉衣 ルイ奏音 カナト悠陽 ユウヒ凌空 リク

メンバーカラーも決まっていて、

ツバサは赤、ルイは青、カナトは緑、ユウヒは黄、リクは紫となっていた


今、姫花や夏希たち女子高生の間でとても人気のあるグループで、自分が好きなアイドルのカラーの物を身に付ける

いわゆる推し活が密かなブームになっていた


「夏希は?」

先に教えてよ!と姫花が問うと、夏希が自分のペンケースを持ってきて

「コレ!!」

と紫色のシャープペンを出した

「あぁ〜リクだね」

姫花が言うと

「そう言う姫花は誰推しなの?」

「私は…」

姫花が言いながら出したのは、緑色のポーチだった

「へぇ〜カナト!」

へぇ〜!とニヤニヤしながら、姫花に

「そう言えばさ、カナトってなんとなくだけど、瑛音 えいと先輩に似てるよね」

そう呟いたのだった



週末になり…

姫花は恋人になった瑛音 えいとと買い物に来ていた


瑛音は姫花より1つ歳上の幼なじみで、姫花は"いと君"と呼んでいる

瑛音が高校を卒業する時に告白し、晴れて恋人同士になったのだ


「コレ!可愛い〜」

姫花が雑貨屋さんに飾られている、カエルのマスコットを見て言った

いと君も見て!と瑛音の腕を引っ張って連れて来る

「ね!可愛いでしょ」

ニコニコしながら姫花が言うと

(いや…お前の方が可愛いし…)

瑛音は心の中で呟いた

「あっ!いと君!」

と姫花が振り返る

「ん?」


「いと君は、ラビュー知ってる?」


(ラビューって…知ってるも何も、オレの従兄弟のカナトが所属してるグループじゃん。

いや…でも、そういう事を言うのも…いくら姫花でも…)

心の中でそんな事を考えていると


「いと君?」

姫花が不思議そうな顔で瑛音を見た

「あ…いや。知ってるよ!ラビューだろ!」

そう言うと姫花は安堵して

「良かった。私、そのラビューのカナトのファンなんだ。」

と言った


「えっ!カナト!えっ?!」

瑛音が少し動揺していると

「いと君?どうかした?」

「い…いや…なんでもないよ」

ふーん。と言いつつ姫花はあまり納得していないようだった


----------


家に帰って来た瑛音は、早速カナトに連絡を取っていた

「もしもし、カナト?」


"おぉ!瑛音!久しぶりじゃん。"

スマホ越しにカナトの元気な声が響いた

「久しぶり!」

瑛音も答えると

"どうしたん?珍しい"


「あのさ…お願いがあって…」


"うん?オレに出来ることなら…"


「…ラビューのライブのチケット取れないかな?」

しばしの沈黙のあと…

"えー!瑛音、ラビューのファンだっけ?"

と言った

「あ~いや、オレじゃなくて…いや…オレだけど…」

瑛音がぶつぶつ呟いていると

"まっ、そんなことは良いけど、良いよ!マネージャーに聞いて、今週末のライブのチケット送るよ!"


「本当か!ありがとう!カナト!」


"良いって!オレと瑛音の仲だろ!それじゃ、またな!"

また!と瑛音はスマホを切ると

良し!とガッツポーズをして、早速ライブに誘うために姫花に電話をかけたのだった


----------



週末になり…

瑛音は姫花と共にラビューのライブに来ていた


「でも…いと君、良くラビューのチケット取れたね!」

姫花も楽しみにしていたようで、スゴく喜んでいた


「姫花、ライブが始まる前に行きたい所があるんだけど…」

姫花はん?という顔をして

「いいよ」

と言った


数分後、瑛音と姫花は会場の裏手にある


"関係者以外立ち入り禁止"


の扉の前にいた


すると、1人の男性が近付いてきて

「瑛音さんですか?」

と尋ねてきた


「はい」

瑛音が答えると驚く姫花を促し

「話は聞いております。こちらへどうぞ」

扉の中へと案内される


しばらく歩いていくと

こちらです。と、カナトと書かれた紙が貼られた部屋の前に立っていた

「えっ!?」

となおも驚く姫花の手を取り

"トントントン"

と3回ノックをした


すると

「はいよー」


なんと、扉を開けてきたのは、姫花が推しているラビューのカナト本人だった

すると、瑛音が

「久しぶり!カナト」

と挨拶をしたのだ


姫花は驚きすぎて、言葉にならないようだった


「君が瑛音の?」

へぇ~とニヤニヤしながら言った

すると、姫花が瑛音の袖をつかみ

「いと君…これは?」

と尋ねた

「実はさ…カナトはオレの従兄弟なんだ。姫花を驚かせたくてさ」

瑛音がごめん!と手を合わせて謝った


「ううん。スゴくビックリしたけど、嬉しい!」

姫花が瑛音の両手を包んで言った


「あの~オレいるんだけど!」

カナトが呆れながら言うと

「ごめん!」

瑛音がニコニコしながら謝った


「姫花さん、オレのファンなんだよね?いつも応援ありがとう」

カナトが姫花の鞄を指差しながら言った

姫花の鞄には、カナトのイメージカラーのキーホルダーを付けていた


「そうなんです!カナトさんの大ファンで本当にめちゃめちゃ推しています!」

と姫花が興奮気味に言った


カナトは

「ありがとう」


「これ!オレのサイン入で2人しか持っていないから…ライブの時に振ってくれたら嬉しい」

そう言って、2人にイメージカラーの緑のマフラータオルを渡した


その時

"トントントン"

"そろそろリハーサルの時間でーす"

外から声がした


「瑛音、姫花さん、そろそろ時間なので行きます。ライブ楽しんで行ってくださいね」

カナトはそう言うと楽屋から出て行った



「オレたちも、そろそろ会場にいくか」

と2人も楽屋をあとにするのだった


----------



ライブを観終わって、帰り道

「ライブ!スゴく良かったね!カナト君が手を振ってくれたし…いと君、今日はありがとう」

姫花が瑛音の手を握りながら言うと

「姫花が驚いてくれて良かった。サプライズ成功だな。」

と姫花の手を握り返した


「いと君、これからもカナト君の事、全力で応援するね!」

姫花が笑顔で言った


後日、カナトから瑛音にメッセージと共に1枚の写真が送られてきた


写真は幼い頃に瑛音の家で遊んだ時のもので…

姫花が2人の男の子の間でピースをしていた

つまり、瑛音と奏音と姫花で撮った写真だった


"オレたち小さい頃、遊んた事あるよ! カナト"


瑛音がメッセージと共に姫花に見せると


"えー!!"


と絶叫したのだった



END

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イメージカラーは緑! 篠宮玲 @sora-rei

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