これは芸術家の純愛、死、そして虫

カクヨムコン長編で何かないかなと探している時に『羽に化けるよ』という題名に惹かれて読み始めました

いきなり衝撃的場面で始まり、最後はそこに終着するのかと思い読み進めるうちに「あれ、この話ってサスペンス…じゃないよね、なんだこれ?虫小説?いや、家族の喪失からの立ち直りモノ?」などど混乱しながらも、最後はやはり恋愛小説、それも純愛だったのだなと納得しました

自分から分離した虫を殺したい主人公透子と、どうしても虫を庇いたい暮野のやりとりが縦糸で、
透子の家族、とりわけ弟への感情の揺れに芸術家の苦悩があらわれて素晴らしい物語の横糸となり素晴らしい小説となっております

そして振り切った透子と暮野の間のやりとりにもしびれます

最期にもういちどだけ

これは間違いなく純愛です

その他のおすすめレビュー

海野ぴゅうさんの他のおすすめレビュー434