女の子はお砂糖とスパイスと素敵な何かで出来ている

本作の主人公は、カレー作りが絶望的に下手な後輩の女の子、忍野さんと偶々「付き合っている」という状態に安住し、何ら主体的な行動に出ないままなんとなく別れてしまう。彼は自身が依拠するカレーライス成立論ーカレーとライスは意図があって初めて結合が保証されるーを恋愛において援用できなかったことが、最大の失敗であった。
本作の筆者はかつて小説『カレー夜話』において、「私にとってカレーほど好都合なものはない。作り方は簡単、市販のルウを使えば失敗しない。失敗するような奴はよほどの馬鹿か天才である。」と述べている。そのカレーを満足に作ることができない彼女がそう都合の良い女性である訳が無いのである。

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