第8話 母と娘

お気に入りのエプロンを着けて母と台所に立つ。

母は、私が母の日にプレゼントしたエプロンを着けている。


数えるほどしか一緒に台所に立たなかったが、手際よく進めていく母を見ると長年の培ったものが垣間見れる。


「結局、お母さんにいつも作って貰ってばかりだったよね。私何も作れないな。」

「お母さんだって、結婚する前の一人暮らしで料理始めたのよ。みんなそんなもんよー。」

「バレンタインのチョコを溶かして固めるのは私得意だよ。」

「小学生の時からだね。毎年バレンタインに梨花がチョレート作ってくれるの。お父さんなんか勿体なくて少しずーつ食べてたんだから。」

「そうなんだ。反応無かったから知らなかった。」

「シャイだからね、お父さん。」


そんな他愛もない話をしながら、3人の最後の料理が段々と出来上がっていく。


「よし、出来たね!あっちに運ぼうか。」




オムライスのカレーソース添え、醤油ラーメン、海苔たっぷり卵かけご飯が出来上がった。

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