猫耳少女は敗けられない。知略と拳で勝ち上がる、個性派冒険ファンタジー!

 16世紀をベースにしたファンタジー世界で、ひ弱だけれど知略にたけた18歳の主人公サイモンが、助けた猫耳少女とバディを組み、野心的な挑戦を繰り広げてゆくバトル物、冒険譚です。
 獣人や亜人が多く登場しますが、それぞれの文化や特性、言語なども丁寧に作り込まれており、とても奥深い世界観を作りあげています。

 人間優位の社会にあって「負け犬」と言われるような貧乏暮らしをしていたサイモンは、ある日、言葉が通じず困っていた猫獣人の少女と出逢います。少しばかり彼女の言語を聞いて話せる彼は、自身もほぼ無一文なくせに少女を放っておけず手を差し伸べたのでした。そこから、波乱に満ちた日々が幕開けるとも知らず――。
 貧乏生活からの成りあがり、というシンプルな筋ながら、この物語はとにかく文化とキャラ個性の作り込みが深いです。どんなもの相手でも負け知らずな猫耳少女こと、ビッグケットの生い立ちと背景。人間の街で骨董品屋を営むエルフのジルベール。酒場で働く獣人女性たちや、宿や食堂で働く住人たちに至るまで、皆それぞれに訳アリで、人情があり魅力的です。
 その一方で、戦いの場面では一切の容赦なし。味方も敵も、侮蔑と死が隣り合わせ。一瞬の間に血飛沫が飛び、あっという間に命が狩り取られてゆくのです。(残虐描写、性描写が苦手な方は、先にあらすじ部分をご覧ください)

 サイモンとビッグケット、それぞれが胸に秘めた願いを叶えるため、生き延び勝ち上がることができるでしょうか。
 第18話で一区切りとなっております。各話長めですが、きっとどっぷり浸って楽しめることでしょう。ぜひ、ご一読ください。

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