少女に降りかかった奇禍の裏に仕組まれた陰謀が、圧倒的文章力で描かれる。

文章から伝わってくる圧倒的な表現力は、まるで史実かと錯覚してしまうかのようです。
他国との複雑な情勢が丁寧に織り交ぜられており、物語に深みを与えています。
昨今の小説は比較的コミカライズ向きなお話が多いですが、このお話の文章力は小説でしか表現しえないのでは、と思います。

レイティングを見ての通り、お話には陰惨な内容が含まれています。
特に主人公の少女エリザベスとその周囲は、度々心無い悪意に巻き込まれてしまいます。
そんな中、周りの後押しを受けて毅然と立ち向かうエリザベスの鋼とも言うべき精神は、胸がすく小気味よさがありますが。
レイティングの意味を想像し、色々覚悟してから読み進める事をお勧めします。
…あんまり深く考えないで読み始め、ちょっとだけ打ちのめされた者がここにおりますので。

主人公はエリザベスですが、お話としては貴族や軍関係者の人間模様が多く描かれています。
登場人物が多いお話ですが、エピソードの合間に登場人物の項目がありますので、是非目を通しておきましょう。

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