聖(性)なる美しき夢の中へ……。

「『きるけぇ』の島に流れ着いた男は、二度とそこからでることはできない——」

惚れた男を獣に変える化け物と恐れられるきるけぇの島に、六十人目の男は流れ着いた。
そこにてしだいに明らかとなるきるけぇの正体と過去、男は「一緒に島を出ないか」と彼女を誘う。

官能溶かせし彼女に、手を出せば人間には戻れない……。
理と性の間で葛藤する男がたどる末路とは……。
過去も未来も混在する不思議な世界で、彼らは時間(とき)の旅をする——。

昔話のような序盤から、潜水艦の登場で一気にSFに。それでいてギリシャ神話要素が豊富であり、多彩なエレメントを兼ねそろえた新感覚の物語。

神話、歴史、SF、幅広い小説好きさんにもっと読まれて欲しい傑作です。

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