第11話
アルト達はゴブリンキングの炎の剣を持ち、チェントロの町に帰った。
「すらすけ、すらみ、ちょっと小さくなっていてね」
「ワカッタ」
「ぷるんっ」
アルトはすらすけ達を小型化し、カバンのポケットに入れた。
冒険者ギルドに入ると冒険者ギルドの主人、レイが青い顔をしてアルトを見つめた。
「あんた、ユーナと一緒に死んだんじゃ無かったの?」
「生きてますよ? 怪我もないし」
アルトはそう言って両手を広げた。
「って、その腰の剣はゴブリンキングの炎の剣じゃない!?」
「はい。ユーナさんたちが襲われていたので助けました」
「あんたとスライム達で?」
レイの問いかけに、アルトはカバンのポケット中のすらすけとすらみを見せて言った。
「はい。僕達が協力して、倒したんです」
「じゃあ、本来の依頼の方は?」
「毒消し草と薬草なら、はい、これです」
「了解。うん、量も品質もOKね」
アルトは聞いた。
「僕達が死んだって、誰が言ったんですか?」
「ああ、ユーナのパーティーメンバーのイザベル達よ」
レイは申し訳なさそうに言った。
「ごめんなさいね、ゴブリン退治の賞金はもうイザベル達に渡してしまったの」
「なんでですか?」
「だって、ゴブリンの首を持ってきたから、てっきり退治に成功したんだって思っちゃったのよ」
「そうでしたか」
アルト達はがっかりした。その一方で、仲間を見捨てて臆面も無く冒険者ギルドに戻ってきたイザベル達が腹立たしかった。
「せめて、食事くらい奢らせて頂戴」
「え? じゃあ、お言葉に甘えます。すらすけ、すらみ、出ておいで」
アルトはカバンのポケットからすらすけとすらみを出し、カウンターに置いた。
「当店自慢の干し肉と野菜のスープよ。沢山召し上がれ」
「頂きます」
「イタダキマス」
「ぷるぷる」
アルト達は、空腹だった。
スープをおかわりして皆が満腹になると、すらみが言った。
「アルト、ユーナノナカマ、ヒドイ」
「そうだね」
「タオス?」
「……うん」
アルトは立ち上がり、すらすけ達をカバンにしまった。
「ごちそうさまでした、レイさん」
「いいえ、あ、イザベル達に会ったら賞金を返すよう言って頂戴」
「はい、分かりました」
アルト達は冒険者の館を出て、イザベル達の泊まっている宿へ移動した。
「すらすけ、すらみ。イザベル達に、賞金を返してユーナに謝るように言おう」
「ウン」
「ぷるん」
アルトが宿に着くと、イザベル達は酒盛りをしていた。
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