第4話
アルトは、すらすけと共にステロの町のそばの草原から、ユーナ達と出会ったチェントロの町へ戻ることにした。
「すらすけ、人間達の世界では大人しくしてね」
「ぷるん」
すらすけは了承してくれたようだった。
アルトはチェントロの町に着くと、すらすけと一緒に冒険者ギルドに入った。
「こんばんはーって、何? スライム!? やだあ!!」
冒険者ギルドの主人、レイは大柄な体をくねらせて堅い拳を振り上げた。
「あ、この子はすらすけです。悪いスライムじゃないです」
アルトはすらすけを庇うように立ち塞がった。
「……あら、貴方はこの前、冒険者登録したアルトじゃない? ついさっきユーナのパーティーから貴方を外してくれって依頼されたわよ」
レイは気の毒そうにアルトを見つめた。
「理由は弱すぎるからって言われてたわよ。まあ、残念だったわね」
「はい、僕もそう言われました」
レイはすらすけを横目に見ながらアルトに水を出し、自分は飲みかけのビールを一口飲んだ。
アルトは出された水を一気に飲み干すと、覚悟を決めて聞いた。
「あの、スライムとパーティーを組むことは出来ますか!?」
レイは飲みかけのビールを吹き出した。
「はあ!? 魔物とパーティーって!? しかもよりにもよってスライムですって!?」
「はい」
レイはすらすけとアルトをじろじろと見てから言った。
「本気のようね、でも残念。パーティーとして認められるのは人間だけなのよ」
「じゃあ、どうすれば良いんですか!!」
アルトはレイに顔を近づけながら叫ぶように聞いた。
「もうっ、そんな大声出さなくてもまだ耳は遠くないわよ」
レイは噴きこぼしたビールを拭い取りながら、ため息交じりにアルトに言った。
「……ソロでパーティーを名乗るしか無いわね」
「分かりました。じゃあ、ソロでパーティー登録をお願いします」
レイは渋い顔をした。
「はい、了解、って訳にはいかないのよ。パーティー登録するのには、クエストの達成が必要なの」
「クエストって何ですか?」
アルトの問いかけにレイは答えた。
「簡単なモンスター討伐依頼とかね」
「じゃあ、すらすけと挑戦します!」
アルトが言うと、レイは渋々といった様子で冒険者ギルドにあるクエストから、簡単そうな物を選んだ。
「このクエストなんかどう? テッラの町の近くの森にスライムの大群がいるそうなの。それを倒してきて頂戴」
「……分かりました!! 行こう、すらすけ!!」
「ぷるん!!」
「もう今日は遅いから、どこかに泊まった方が良いわよ」
「ありがとうございます。でも、すらすけと宿に泊まるのは難しそうなので、一度実家のあるテッラの町に帰ります」
「そうね。気をつけてね」
レイは心配そうな笑顔でアルトとすらすけを送り出した。
「すらすけ、僕の家においで。きっと家族なら分かってくれるよ」
「ぷるん?」
すらすけは何を考えているか分からなかったけれど、アルトはテッラの町に戻ることにした。
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