気障な花言葉

第1話

勉は言った。

「あなたに花を贈ろうと思ったのだけれど……」

麻衣は言った。

「思ったのだけれど……」

「それはできないと気づいたんだ」

「なぜ」

「どんなに美しい花を贈っても、あなたの魅力にはどの花も及ばない」

「そんな……」

「花はいのちを差し出して、自身の存在に華を持たせようとするわけだろう」

「…………」

「でも、あなたの美しさに花は完敗で太刀打ちできない」

「…………」

「花を悲しませることは罪なことだ」

「…………」

「代わりに、あなたに華を持たせる言葉を贈ることしかできない」