概要
「王様は、人を殺します。」
暴君ディオニス。彼は数多の人を殺した。王の妹婿を。自身の世嗣を。妹を。妹の子を。皇后を。賢臣アレキスを――。
走れメロスの、B面です。
走れメロスの、B面です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!このようなことは、あるのだ。
走れメロスを基として、王というもの、王政というものが必然として持つ糜爛の定めを実によく描いた小説だと思う。
卑近な例を取れば、三国志の時代周りだけとっても、後漢末期が如何ともし難い腐敗に包まれていたのは有名であるが、儒家≒名士勢力と対立していた節のある曹操は、結局の所儒家に敗れ、次代で九品中正法を採用し、名士・名族優位となり、曹操が掲げた唯才主義は影も形もなく消えた。その果てに曹一族は司馬一族との政争に敗れ、曹魏は滅んだ。
その魏を滅ぼした司馬一族の普も、この小説の如き壮絶な一族の内輪もめの末、それが極まって『八王の乱』と呼ばれる乱を招き、その末の皇帝は奴隷として皿洗いや宴会の始末…続きを読む