第12話 噂集めにて
冒険者ギルドで俺は噂集めというさぼりだ。
マッサージの仕事はもうできない。
何でかというと同業者が現れたからだ。
豊満なお姉さん、浮浪児、仕事のない靴磨きが、わんさか現れた
それぞれが特色を前面に出してくる。
お姉さんは色気で、浮浪児は値段の安さで、靴磨きは組織力で勝負している。
そりゃあ、俺も腕の良さで対抗できるけども。
やつらのこの仕事を逃したら、飢え死にするっていう必死の眼差しを見ていたら、この街に仕事を探しに来た時の俺と重なって競う気が起きない。
変な能力に目覚めなかったら、こいつらの姿は俺だったかも知れない。
疲れた訳ではないが、俺もたまに浮浪児にマッサージしてもらっている。
そして、どうしても大目にチップを渡してしまう。
そんな俺をジュリアは仕方ない人ねと見てる。
浮浪児オンリーなのは、お姉さんにマッサージを頼むなんて、ジュリアが怖くて出来ない。
靴磨きは何かとオプションを勧めてくるからパスだ。
「どいてくれ。急患だ。誰か教会に走れ。治癒師を呼ぶんだ」
男達に怪我人が担がれて運ばれて来た。
怪我人を見ると足の傷口からピンクの小人さんが現れては逃げて行く。
こりゃあ、死ぬかもな。
俺は逃げて行くピンクの小人さんを捕まえた。
「布を持ってないか?」
『あるよ』と言って差し出された包帯。
「怪我人に巻いてやってくれ」
小人さんは頷くと足に包帯を巻き始めた。
怪我人の出血が止まる。
傷口からピンクの小人さんは現れなくなった。
俺は包帯を巻いてくれた小人さんにキャンディをやった。
ピンクの小人さんは、にこやかに微笑んで、キャンディを舐めている。
さて止血は済んだが、本格的な治療どうしよう。
その時、治癒師らしき人物が現れた。
傷の確認をして。
「誰が応急処置をしたのですか?」
「知らねぇな。誰も触ってはいないはずだ」
近くにいた男が答える。
「そうですか。この様子では動かしても平気でしょう。担架に乗せます」
そう言うと、治癒師の連れが担架に乗せて怪我人を連れて行った。
俺は逃げ出したであろうピンクの小人さんを集めて。
「怪我人の元に戻ってくれないか。キャンディをあげるから」
ピンクの小人さん達は『うん、わかった』と言ってみな頷いた。
キャンディを咥えて担架で運ばれた男を追い始めた。
心配だな。
俺は後をついて行く事にした。
猫がピンクの小人さんの前を横切った。
ピンクの小人さんは猫を追いかけ始めた。
道端の花を眺めて足を止めている小人さんもいる。
うわっ、これは駄目だろう。
ピンクの小人さんを一人捕まえて。
「ロープを持ってないか?」
ピンクの小人さんはロープを出した。
俺はロープで大きな輪を作り、小人さんを輪の中に入れた。
こうすれば、はぐれる奴もいないだろう。
小人さんはロープを持って歩くのが楽しいのか『きゃはは』と笑いながら歩いている。
楽しんでくれているようで何より。
担架に担がれた怪我人が見えて来た。
「ご苦労様。元の場所にお帰り」
ピンクの小人さんは怪我人に触ると消えて行った。
怪我人の顔色が良くなった気がする。
いい仕事をしたな。
――――――――――――――――――――――――
これにて打ち切りエンドです。
自分の中では好きな小説なんですが、反応が無さ過ぎて書く気が起きませんでした。
やっぱり、ざまぁとかないと駄目なんですね。
ざまぁつけてリメイク版を検討してます。
小人さんで世界は回る~俺が火打石を打ち付けたら、3歳児みたいな赤い二人の小人が『ごっちん』と言って頭を打ち付け、目から火花を出して、涙目で頭をさする~ 喰寝丸太 @455834
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