【2/9コミックス2巻発売】貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収〜パーティー追放された俺は、可愛いサポート妖精と一緒に取り立てた魔力を運用して最強を目指す。限界まで搾り取ってやるから地獄を見やがれ〜

第287話 狩りの街に到着する

　――昼下がり。

　あの後は、とくに出会いも問題もなく、俺たち一行は『狩りの街』に到着した。

「ガッシュさん、ありがとうございました」

「お嬢様をよろしくお願いします」

　深く頭を下げてから、ガッシュさんは馬車に乗り込み、去って行った。

　小さな街に小さな門。

　入り口に門番はおらず、出入りは自由だ。

　外からパッと見る限りは、普通の街に見えるのだが……。

「変ですね？」

　リンカの言葉に俺は頷く。

　出入りしている人がいない。

　歩いている人が誰もいない。

　こんな街は見たことがない。

　いったい、どういうことだろうか……。

　さっきすれ違った冒険者の言葉を思い出し、このまま、帰りたいという気持ちがわき上がる。

　プレスティトさんに頼まれてなかったら。

　【魔蔵庫貸与】が関わっていなかったら。

　このまま、引き返していただろう。

　わざわざ、トラブルに首を突っ込もうとは思わないから。

「すこし、見てみようか」

　リンカ、ラーシェスとともに、街中を歩いてみる。

「お店も閉まってます」

「誰もいないね」

　二人が言う通り、閑散としている。

　短いメインストリートは５０メートルもない。

　冒険者はおろか、普通の住民すら見かけない。

　武器屋や道具屋らしき店は何軒かあるが、どれも店を閉めている。

　後の建物はほとんどが宿屋だ。こちらも営業していない。

「ゴーストタウンじゃないんだろうけど……」

　その不気味さが、この先の不安をかき立てる。

　メインストリートの突き当たりには、冒険者ギルドがあった。

　見慣れた看板に、ホッとするが……。

「空かないです」

　リンカが揺すってみるが、ギルドの扉も固く閉ざされている。

　こんなことがあるのだろうか？

「うーん。どうしようか……」

　早くも行き詰まってしまった。

　基本的に、どの街でも、不測の事態に対応出来るように、冒険者ギルドは昼も夜も営業している。

　小さな町では、夜に閉まっているところもあるが、日中にこれはおかしい。

　危険な気配はないが、それとは別の嫌な予感がする。

　そんな俺の考えを察したのか、アンガーが現れる。

「レントの兄貴ッ、大丈夫ッス。姐御たちに悪意を持ったり、害しようとする不届き者はいないッス」

　俺たち三人はひとまず安心する。

　だが、この拭いきれないような気味悪さはいったいなんだろうか。

「マスター、アンガーの言う通り、この街は安全ですよ～。むしろ、良いカモです～」

　次いで現れたエムピーも満面の笑みだ。

　それでも、街を覆うネガティブな空気は紛れもない。

　俺たちを対象としたものではないと分かったが……。

「もうちょっと、探してみようか」

　メインストリートから外れて、狭い道を歩いて行く。

　路地奥に並ぶのは酒場や宿屋。

　やはり、どれも閉まっている。

　しばらく歩くと、そこだけ雰囲気の違う区画があった。

　冒険者が集う場所には、必ず、３種類の店がある。

　武器屋や道具屋。

　酒場と宿屋。

　そして、もうひとつは――。

　俺はその区画の手前で足をとめた。

　二人は怪訝そうに俺の顔を見る。

　さて、この先に二人を連れて行っていいものか……。

　普通の街だったら、「ここは俺が一人で調べるから、二人は別の場所を」と誤魔化すところだが……。

　この先の区画も静まり返っている。

　だが、ここだけは独特の空気をまとい、入るまでもなく、ソレだと分かった。

　もちろん、二人はここがなにか、知っているはずもない。

　リンカは可能性がなくもないが、ラーシェスは絶対に知らないだろう。

「なにか、違和感がありますね」

「ボクも、そう思う」

　それでも、その異質さは二人にも分かったようだ。

　区画の入り口で戸惑っていると、ひとりの女性に声をかけられた。

「あら、お兄さん」

　　　◇◆◇◆◇◆◇

【後書き】

３つめの残りの店とは？

次回――『狩りの街の秘密（１）』

【ご報告】

この度、拙作『前世は冷酷皇帝、今世は幼女』が

アルファポリスから１巻が９月中旬に発売（早ければ１７日には店頭に並ぶと思います）されます。

それにともない、規約により９月１６日に作品を取り下げます。

未読の方は、それまでに是非、お読みください。

元皇帝　ｘ　幼女　ｘ　無双！

ひれ伏せ、クズ共よ。

書籍版はWeb版から半分以上書き下ろしになっています。

Web版を読んで興味を持っていただけたら、是非是非、お買い上げよろしくお願いします！

https://kakuyomu.jp/works/16817330650996703755

旧題『前世は冷酷皇帝、今世は貴族令嬢　～幼女になった皇帝、父親にブタ貴族へ売られそうになったから家を捨てて冒険者を目指すもカリスマ性は隠しきれない～』

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