月からの招待状

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月からの招待状

ある満月の夜の事。月の光がとても明るい日でした。ベッドで寝ている男の子は、スー スー と寝息を立てて寝ています。

カーテンの隙間から月の光が射し込んでいます。その光が男の子の顔にちょうど当たった時、優しい女の人の声が聞こえてきました。


『そらっ!そらっ!目を覚ましてっ!』


その声に男の子は目を覚ましましたが、部屋をぐるりと見渡しても誰もいません。

不思議に思った男の子はこう言いました。

「誰?どこにいるの?なんで僕の名前を知ってるの?」


そう言うと、女の人の声がこう答えました。

『私の名前はルナ』

その声は窓の外から聞こえてくるのが分かりました。


ルナはこう続けます。

『今日の朝拾ったもの、覚えているかしら?』と言われ、そら君は今日の朝の事を思い出していました。


通学路を歩いていると、足に何かが当たりました。足をあげて見てみるとアスファルトには穴が開いているようです。

その中心には焦げたような真っ黒い石のような物がありました。それをランドセルに入れていたのですが、すっかりその事を忘れていました。


「あ~、あの真っ黒な石みたいなの?」とそら君が答えると、ルナは喜んでいるような明るい声で『そう!それよ!拾ってくれてありがとう!』と言いました。


するとそら君は不思議そうに首をかしげながら「なんで僕の名前が分かるの?」と聞くと、ルナはもったいぶるように『それはね…』と答えます。


続けてルナは『朝拾った物を持ってきてくれたら教えてあげるわよ』と言うので、そら君は素直に「分かった」と答えました。

そら君がランドセルの方を見ると、ランドセルの中からぼんやりとした光が見えました。

それを見たそら君は「えっ?すごい…」と目を丸くしながらもランドセルから真っ黒な石のような物を取り出しました。


そら君は「持ってきたよ」と言うと、ルナが『ありがとう。それじゃあ、ちょっと目をつぶってくれるかしら?私がいいって言うまで目はつぶっておいてね』と言いました。


そら君は、これから何が起きるんだろう、という不安と楽しみでワクワクドキドキしながら目をつぶりました。


するとそら君の体が一瞬ふわりと軽くなり、思わず目を開けそうになりましたが、ギュっと目を固くつぶりました。


しばらくすると、とても近くから『そら、もう目を開けても良いわよ』とルナの声が聞こえてきました。

そら君はおそるおそる目を開けてみると、目の前には灰色の地面が広がっていて、ゴツゴツとした岩のような物がそこら中にあるのが分かりました。


そら君は、ルナの声がした方に向かって「ここは、どこ?」と聞くと、そこには大人の背丈ほどの、いわゆるロボットが立っていました。

『はじめまして、そら。ここは月よ』とそのロボットからルナの声が聞こえてきました。このロボットがルナのようです。


そら君はビックリしながらも、遠くに目をやると青い丸い物が見えました。そら君は指を指しながら「あれって…もしかして地球?」と聞くと、ルナは『そうよ』と答えます。


『そらが拾った真っ黒な石みたいな物、月からの隕石だったの。ずっとそらを探していたのよ』とルナに言われたそら君は「え?どうしてっ?」と身を乗り出すように聞きました。


ルナはこう続けます。『七夕の短冊に"月に行きたい"って書いた事、覚えてないかしら?』と聞かれたそら君は、今年の夏に学校の授業で書いた短冊の事を思い出しました。


ルナが『短冊には名前が書いてあったから、そらの名前が分かったのよ。これで理解してもらえたかしら?』と言うと、そら君は元気良く「うん!」と答えました。


それから、そら君とルナはたくさんお話をしました。

学校の事、家族の事、飼ってるペットの事、将来の事。家族にも言っていない好きな子の事も。


「こんなにたくさん話したの久しぶりだよ」とそら君が言うと『なんで?』とルナは不思議がって聞きました。


「だって、父さんも母さんも最近とっても忙しそうだし、それに僕の事話しても面倒って思われそうで言えないもん」とそら君が寂しそうに答えると、ルナは『そんな事言わないで。そらのお父さんもお母さんもそらの話聞きたいって思ってるわ』と言われて、そら君は「そうかなぁ。それじゃあ今日の事も話してみようかな」と答えました。


急に目の前が眩しくなりました。


「そらー、そらー、早く起きないと学校に遅刻するわよー」と遠くから声が聞こえてきました。そら君のお母さんがそら君を起こす声です。


そう。そら君は月に行く夢を見ていたのです。


そら君は大きい声で「はーい」と返事をすると、起きて早々にランドセルの中の"アレ"を確認してみました。

確かに夢の中で見たのと同じ隕石に間違いありません。でも、もう光ってはいませんでした。


そら君は朝ご飯を食べながら、さっきまで見ていた夢の内容をお母さんにとても楽しそうに話しました。

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