文章力、構成力、共に高水準です。

こう云う言い方は どうかと思いますが、作者の力量として「アマチュア感」は、まるでなく、最初から高度に安定したプロの作品となっています。

陰陽道と云いつつも、自然科学の知識を ふんだんに盛り込んだその術式は、この手の話が好きな読者層には、ビシビシ刺さる事でしょう。

読者は、主人公の目指す人生の目標が、主人公の持つお人好しの気質によって徐々に脱線していくさまに苦笑しつつ、また、脱線した先にある未来こそが、読者の望みうる展開である事に安堵する。

まさに、読者が小説に求める要素が、きちんと計算されて作成されたモノが、この本作品となっています。

計算され、狙って作られたゆえ、野性味こそ感じられないものの、上品で安心して読み進められる良作です。

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