四章の途中なので、三章までの印象で書きます。
タイトルからの印象では『変身魔女っ娘モノの亜種かな?』でした。
しかし、読んでみるとまるで別物で、キャラや設定で押してくるそこらの作品とは違い、世界観やドラマで魅せてくる物語でした。
作者の文章力と語彙力も高く、それでいてそれを強調しない、読みやすくわかりやすい文章と構成です。読んでいて『上手い』と何度も何度も思いました。
だからと言ってキャラや設定が薄いということはなく、ヒロインのリルルと相棒のウィルウィナ、幼馴染で恋人?のニコルは当然として、彼女らに絡む者たちにもしっかりと魂があります。
それは、キャラクターの性格に一貫性があることからも伝わってきます。
『作者が書きたい物を書く』ではこうなりません。
快傑令嬢リロットはバットマンよろしくのダークヒーローっぽい活動をしてますが、まったくダークな感じはありません。
令嬢呼ばれるように淑女な振る舞いであり、人々に慕われています。が、やはり公的機関には(表向きは)追われる身であり、そういった展開もドラマとして面白いです。
キャラや文章力などが良いと挙げましたが、一番のお勧めすべき点は話の展開です。
正体を隠して活動とか悪者を倒すとか、こういった物語のお約束はしつつも、令嬢というリルル本来の生き方の中で起こるトラブルも描かれています。
もちろんそれが、快傑令嬢に絡んでくるのですが、それが上手い具合に予想を外してくるのです。それも再予想も外してきます。
『読者の予想は外しつつ、期待は裏切らない』
これのお手本です。
長くなりましたが、そこらに転がっているWEB小説とは圧倒的に違うランクですね。
これまで読んだWEB作品の中で、面白さも完成度も一番でした。
お見事!
多くの異世界ファンタジー作品はその世界背景や情景設定を描写することなく “中性ヨーロッパの町並みだ! “のような読者の想像に丸投げしてることがままあります。それはファンタジーの様式美といえば聞こえはいいですが、手抜きと言えば手抜き。この作品は異世界ファンタジーだぞ、だからあらかじめ想像しておいてね、いちいち細かい描写しなくてもわかるでしょ、さんざんゲームとかアニメでみたでしょ、そんなガイドが聞こえてきそうな作品のことだ。
しかしかながら本作は異世界ファンタジーというジャンルに一切もたれかかることなく、緻密な設定を土台とし、それを感じさせない描写によって読者にどっぷりと快傑令嬢世界という舞台に没入させてくれる。
その舞台上では主人公リルル、相棒のフィルフィナ、幼馴染のニコルを軸に日常はコミカルに、時にシリアスに、過剰なまでのアクションに、ドラマティックに、そしてロマンスを絡めたヒューマンドラマを上演してくれる。
エンターテイメントとはこういうもんだ、そんな読後感に溢れるハイクオリティな作品です。
一つだけ、他のレビューにもありますが、この作品とんでもない時間泥棒です。最新話に追いつくまで何度寝不足になったか。
御注意を……
第4章を終え200話オーバーの作品。
連載開始からずっと追いかけていますが、この作品の大きな特徴は大きく二つ。
まず、ちりばめられた伏線の見事な回収によるどんでん返し。
何気なく読み飛ばしてしまいそうな描写が推理小説のようにあとあと大きな仕掛けとなって登場して驚かされます。
もうひとつは、登場人物たちがそこにいるかのように感じられるほど生き生きと描かれており、彼ら彼女らが織りなすドラマが強く心に響きます。
そのスケールは回を追うごとに増していて、作者様の筆力、表現力が連載しながら格段に成長していることの現れだと感じます。
辛抱強く読み続けることをお勧めします。いえ、綿密に設定された世界観を軽やかに読み進められる文章と丁々発止のやり取りを目にすればページをめくる手は止まらなくなることでしょう。
個人の主観を申しますと深みが出てくるのは1章のエピローグ当たりから、かもしれません。3章以降はどうしようもなく心を揺さぶられ続けました。もう感情のジェットコースターです。ぐるんぐるんと目が回るほどですが、ピタッと着地します。感動以外にありません。
濃い作品を求めていらっしゃる方こそ、ぜひ快傑令嬢の世界へ飛び込んでみてください!!
2022.06.27 新レビュー追加
旧いレビューが余りにもバカすぎたので追記いたします。
いや、当時はそういうものだと思っていたのです。
ですが、現時点で更科先生の描く『快傑令嬢』を見て、私目のクソみたいなレビューを開示しておくことは実に恥ずかしいのですが、
人に歴史ありということで、完全更新ではなく追記ということで書いておきます。
この作品を一言でいえば、
『書籍として販売&コミカライズされていても全くおかしくないレベルの作品』
と言えるでしょう。
勿論、この場合のメディア化は昨今の狂った業界基準に照らし合わせたものではなく、単純に品質の面から評価したものです。
実にすばらしい。
先生の世界では、キャラクターが記号ではなく生きている人々として描かれています。
善も悪も様々な思惑で動いており、主人公たちのコミカルで少しシリアスな物語も実に素晴らしい。
私はレビューを書くのが苦手で、素晴らしいとか、凄いとしか言えないのですが、その私が言います。
『素晴らしくて凄い』
不満?
えぇ、ありますよ。
金をとれるだけのクオリティがあるこの作品の評価が低いということです。
何十倍の★と、何十倍の❤と、何千倍のPV
これが得られて初めて『まっとうに評価された』と言えるのではないでしょうか。
作品のクオリティと評価がイコールではない事は理解しておりますが、
それでも低いと言わざるを得ない。
微力ながら、宣伝させていただいておりますが、
本当に本当にもっともっと評価されるべき作品だと思います。
========== 以下 旧いレビュー ==========
初見『魔法少女モノかな?』でしたが
いえいえタイトル通り、ヒロインのリルルは『快傑令嬢』でした。
『怪傑』ではなく『快傑』
つまり
不思議な能力でスカッと爽やかオロ○ミンC的に、
社会の裏で表で暗躍する悪者たちをバッタバッタとシバキ倒す令嬢なのです。
そう『令嬢』なのです。
本作の世界設定は、かなり練られており
幻想世界でありながら、人々がしっかりと街に根差して生きている様子が描かれています
そう!つまり『リアリティ』に溢れているのです。
当然、ヒロインのリルルも
アリがちな名だけ貴族ではなく、リアルな貴族の娘として描かれています
※凄まじく没落した貴族の一人娘として
貴族の娘と言えば?
そうだね!『政略結婚の道具』だね!
没落したとはいえお金だけはあるフォーチュネット伯爵家
商才のある父親は、お家を再興しようと必死。
家の為>娘の為 という事で最良と思える嫁ぎ先を用意するのですが......
実はリルルには両想いの幼馴染ニコルというお相手がいたのでした。
果たしてリルルの恋は成就するのでしょうか?
嫁がせたい父親 VS 嫁ぎたくない娘
が織りなす喜劇。果たしてその勝負の結果は!?
※メイドのエルフはお金で動く???ようですが???
リアリティがありつつも、ありきたりではない幻想世界を舞台に
エルフの魔法道具に身を包み悪をシバキ倒す快傑令嬢の物語
幻想成分、快傑成分、ラブコメ成分を同時に接種できる満足セットです