第54話童子切
案内されたのは、神社だった。
「ほほう。宿とは、片山神社ですか。案内したのが鬼神……なるほど、鈴鹿御前ですか」
「いかにも。ここに祀られた鬼神、鈴鹿御前とはわらわのこと。お気づきでしたか」
「当然。で、鈴鹿御前がそれがしと玉藻御前になんの用でございましょう?」
「あなた様の刀と式神の借りを返していただきたくて」
「【童子切】ですな。そういえば、鈴鹿御前から源頼光殿が二振り賜ったものの一つでしたな」
刀は、田村麻呂が所有していた。
酒呑童子討伐には、源頼光に依頼されて安倍晴明の一族が借り集められており、【童子切】の真打ちが与えられたのじゃ。式神とは、酒呑童子に他ならない。それらを相続したのが傍流の孝明じゃった。嫡流の者には、【小狐丸】の真打が伝わっていると聞くが。
「安倍晴明の一族の中でと天才の名をほしいままにした孝明殿がこんなところに来られるとは……不幸中の幸いでございますな。ほほほ。しかも、九尾の狐と噂される玉藻御前までともなってこられるとは」
「酒につられてのな。……で、わらわ達を鈴鹿御前がなんで待ち構えておったのかの?」
わらわは、うろんげに問うた。
「追討令が届いていましたからね」
「「誰の??」」
「もちろん、あなた方のです」
「ふむ? わらわ達を討とうというのか? そなたが??」
お大尽め、自分の娘を傷物にされた恨みとわらわが邪魔という観点から、孝明とわらわを討つために国を動かしおった! まあ、予想の範疇であるし、その前に逃げたのであるが。
…
……
わずかな間をおいて、
鈴鹿御前がゆっくりと首を振った。
「むしろ、逃げる手伝いをして差し上げようというのです」
「……見返りは?」
聞いたのは、孝明。
「話が早くて助かります。 お二人は
「なんじゃ、それは?」
「ああ、あの。大嶽丸の復活でも目論みましたか? 背後にいるのは何者です?」
「ますます話が早い! あなた様のご嫡男でございますよ!」
「あの放蕩息子が!」
「そなた、嫡男がおったのか! しかも放蕩息子とか、そなたが言うことか?」
子供も親も放蕩すぎるのじゃ!!
「それで、父親たるそれがしになんとかせよ! と?」
「仕事でございますよ。報酬もたっぷり支払わせていただきます。路銀が必要なのでございましょう? 酒呑童子と九尾の狐がおれば、大嶽丸が復活しても討伐出来ましょう。できれば復活させずに解決していだきたいものですが」
「はぁ」
孝明は、気のない返事を返した。
〝藤原千方の四鬼〟とは、一体?
九尾の狐が封印されているという殺生石の前で、きつねうどんを作ってみた[PV10万超・❤️3.8K超、★550超感謝] ライデン @Raidenasasin
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